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松下社会科学振興財団、"松下幸之助翁の本質"を学ぶ場

松下社会科学振興財団
遠藤紀夫専務理事
1180号 (2015/08/11発行) 10面
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松下社会科学振興財団 遠藤紀夫専務理事

松下社会科学振興財団 遠藤紀夫専務理事

経営の基本は自主責任経営

 経営の神様と言われた松下幸之助翁。経営の理念、実践事例は松下社会科学振興財団(京都府京都市)によって受け継がれている。遠藤紀夫専務理事に財団の活動内容を聞いた。

自分たちの義務とは

――遠藤専務も直接、松下幸之助さんにお会いになったそうですが、どのような経営の考え方をされていたのでしょうか。

 権利ばかり主張するのではなく、自分たちのやるべき義務とは何かと、その原点を重視している人でした。その部分をしっかりやる人物でないと信用されない、だから経営の基本は自主責任経営と言っています。違う言い方をしまと、自分の幸せは自分で作りだすんだ。そういう気概を持った経営をすることを大事だというのが基本的な考えです。でも経営学を学んだ人が皆成功するかというと成功しない。だから知識とか技術を使うためにはどういう考えで使うかの考え方が大事。根性だけではだめだということです。だから松下幸之助のファンはいまだにいるのだなと思います。

――人を大事にした経営でも有名です。

 首を切らないということをしました。松下幸之助が生きていたら、今でも絶対リストラしないという人がいますが、私ははっきり言って分からないと言っています。世界恐慌の時に人を切らないという判断をしたのは、中小企業ですから人が来ない。せっかく来ていただいた人を切るわけにいかない、そしたら従業員がよしやろうとなったわけです。だから今、大企業になっていますし、リストラするかもしれません。ただ、リストラするにしても仕方が素晴らしいのではないかと。たぶん辞めた人がファンになるようなリストラをすると思います。

――財団が作られたきっかけを教えてください。

 松下幸之助の経営に関する理念や実践事例を後世の方々に伝えたいと平成4年に造られました。今の理事長はパナソニックの副会長をされています孫の松下正幸です。

――活動内容は。

 3つの柱がありまして、1つは展示事業。松下幸之助の考え方を伝える展示。それから2つ目は図書館、経営関係の本を2万2000冊ほど集めています。もう1つはいろいろな提言をするための研究活動です。今は人間として人間を大切にした経営とはどうあるべきかの研究をしています。

肉声が聞ける

――メーンの活動は3つのうち、どれになるのでしょう。

 展示事業(京都駅前、PHPビル3階)です。特にご覧になられるのは62ある映像ブースです。宇都宮のある経営者などは自ら乗用車を運転し、今年だけでもう6回も来られています。そうしたファンが定着しているのです。

――本人の肉声が聞けるのですよね。

 ええ、肉声なんです。これが皆さんズシンとくる。本で書いてあることと同じことを松下幸之助が言っているのですが、やはり本人が語っていますからインパクトが違う。それから部下の方が語る映像がありまして、松下幸之助がこうやって怒っただとか、こうやって褒めたとかの具体例も人気があります。日本語、英語、中国語、韓国語の映像で見られるので、海外の方も多いですね。

――年間来場者はどのくらいですか。

 予測ですが、今年は7000人強が来ると思います。以前木津川市にあったころは多くても5000人くらいだったので増えていますね。


【財団概要】
平成4年に設立。松下幸之助生誕100年となる平成6年には「松下資料館」が開設。経営に関する理念や実践事例が広く公開された。平成22年には京都府より公益財団法人への移行が認定された。

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