-THE SHOKUNIN-【塗装】
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは女性塗装職人の原田京子さん。丁寧な仕事と施主への細やかな心配りができる職人さんだ。
原田 京子さん(49歳)
「現場によく足を運ぶ知識が豊富な営業さんはすごいなと思います」
女性で苦労したことはない
細かな作業は女性向き
原田京子さんが職人になったばかりの20年ほど前。原田さんが歩いているだけで声をかけられたほど、女性の塗装職人は珍しかった。「男性と同じ仕事をしているだけなのに『すごいね』『えらいね』と褒めてもらえるのは、女性だからかなと思います」と原田さんは笑う。
仕事をする上で女性だから苦労したことはない、という原田さん。「昔は一斗缶(約16kg)を持って足場に上がれましたが、今は体力が衰えて、塗料の量を半分にしてもらっています。力では男性に劣りますが、うちの会社のスタッフはみんな優しく対応してくれます」
(写真上)一緒に働く仲間が作業しやすいように、作業をしながらどこまで塗ったか、養生の部分に印をつけている
(写真下)足のサイズは22.5cm。近くの作業服屋で白の安全靴を選ぶと1種類しかない
社内では原田さんの存在は、男性・女性の違いの前に、1つの「個性」として受け止められている。原田さんの身長は156cm。183cmの男性スタッフと比べると、手を伸ばした状態で50cm以上もの差がある。男性が見える高さが原田さんには見えないが、逆に狭いところや奥まった部分の作業は腕や指の細い女性の方が行いやすい。養生のテープを貼ったりするなど細かな作業は、女性の方が向いているのでは、と原田さんは話す。
原田さん愛用の道具。腰袋(上の白いバッグ)に工具類(下)を入れている。右から、ネジなどを取るのに使うラジペン、釘抜き、ドライバー、カッター、はさみ、ホコリを払うダスター刷毛、皮すき、ケレンに使うワイヤーブラシとヤスリ。ワイヤーブラシはホコリが付きやすいため自作のカバー(緑色)を作った。サッシベラ、千枚通し。千枚通しにも自作のカバーがある。もう1つポーチ(黄色の丸)にはテープ類などの細かいものを収納。テープの側面にゴミなどが付かないようにするため(左写真)サッシベラはパネル間のシーリング材を取るのに使っている
塗装は維持延命と美観が1セット
「塗装は『維持延命と美観』が1セット。その両方がちゃんと両立しないといけない仕事だと思います」と原田さん。例えば、雨水を排出させるため土台と外壁の間に「水切り」という金具を取り付けるが、見た目をよくするために、水の逃げ道(出口)となっている隙間などを安易に補修して塗装してしまうと、内部に水が溜まり、雨漏りの原因となる。
「職人に知識があれば『そこは水の出口なので塗装はできません』と伝えることができます。見た目をきれいにするだけでは、塗装の仕事とは言えません。やはり、美観と延命はセットでないといけないと思います」
お客の要望に対しては、メリット・デメリットをきちんと説明するようにもしている。言われた通りに塗装してしまうと、お客様の不利益になることもあるからだ。「お客様から『ここも塗って』と言われても、塗装が剥がれやすい材質のものなら、『塗っても長く保ちませんがどうしますか』と伝えます。不具合が出た場合もすぐに報告します。ちょっと面倒だなと思っても、後から早めに報告しておいてよかったと思うことはしょっちゅうありますね」
プライベートでは3人の男の子のお母さん。全員が野球をやっていて、日曜日には練習や試合に駆けつける。また、毎朝お弁当づくりのために5時半に起床している。「仕事と家庭の両立は本当に大変です(笑)。でも、他のお母さん達もみんなやっていることなので、頑張ろうと思っています」
チャーミングな原田さんだが、頭にタオルを巻き、ヘルメットをかぶると「職人」の顔に
職業:塗装職人
名前:原田 京子さん 49歳
所属:リペイント湘南
《主な活動地》
神奈川県を中心に東京、千葉など関東一円
《仕事へのこだわり》
お客様の歩くところはきれいに
「お客様には作業中でも、少しでも快適に過ごしてもらいたいと思っています」と原田さん。現場では、お客様が歩くところはペンキが付かないようにブルーシートの上に布シートを敷き、細かい塗膜片やゴミも丁寧に掃除をしている。
《仕事についたキッカケ》
28歳の時、リペイント湘南の社長で兄の原田芳一さんから「仕事を手伝ってほしい」と言われたのがキッカケ。それまで、自分でベッドを作ったり、机にペンキを塗ったりとDIYが好きだったので、塗装の仕事に抵抗がなかった。
《1日のスケジュール》
起床/5時半:長男(高校生)、次男(中学生)、夫、自分のお弁当を作る。家族の朝食は同居している義父母と一緒に。原田さん自身は出社時間が早いので、出社後、実家(社屋の上階)で実母手づくりのおにぎりで朝食をとる
出社/7時~7時半:準備をして現場に向かう
現場到着/8時:打ち合わせをして、今日の工程を確認してから作業スタート
昼休み/12時~13時:お弁当を食べたら、15分ほど仮眠をとる。よく仮眠をとるのでニックネームは「ミセス仮眠」
午後の作業/引き続き作業を行い、5時に終了。事務所に戻るのは6時半頃。実家でシャワーを浴びてから帰ることも。「作業着が汚れていたらシャワーを浴びて着替えてから、スーパーへ買い物に行きます。汚れたまま、ママ友に会ってしまったら、子どもがかわいそうですから」(原田さん)
帰宅/20時半:子どもとその日にあった出来事などを話す。 夕食。明日の準備をする
就寝/24時
癒しは愛犬・ペットのリンちゃん
家族のアイドルは、マルチーズとトイプードルのミックス犬のリンちゃん(♀)。3人息子の中で、おてんば娘的存在。「お世話は基本、子どもたちがやってくれています。家族全員の癒しになっていますね」
推薦の言葉
住宅リフォーム神奈川
代表取締役 佐藤 信嗣さん
原田京子さんとはもう13年ほど前から仕事をお願いしています。原田さんの仕事は養生をするにしても、すべてにおいて丁寧です。早く作業を進めたいところをグッとこらえて、とても丁寧にやってくれています。
それにお客様への対応が素晴らしい。礼儀正しく、何か問題があればすぐに報告してくれます。
ある現場をお願いした時、隣の家の方から「あの女性にうちの塗装もお願いしたい」と依頼がありました。隣の方は原田さんの身のこなしや丁寧な仕事ぶり、顔を合わせた時にはきちんと挨拶をしてくれる姿勢を見ていたのだと思います。
原田さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
壁がキレイになると玄関ドアの汚れが気になり、一緒に塗ってほしいと言われるお客様はすごく多いです。しかし、木製ドアには木目を活かした塗装と、木目を塗り潰す塗装があります。どちらにするかで質感が変わってくるのですが、気づいたら木目をベターっと塗られていたという話もよく聞きます。
間に営業さんが入っている時は、職人はお客様と直接お話することがなかなかしにくいので、営業さんには、お客様に出来ることと出来ないこと、メリット・デメリットをきちんと伝えていただけたらと思います。そうすれば、後々のクレームがなくなると思います。
現場によく足を運び、現場のことを知っている知識が豊富な営業さんはすごいと思います。特に雨水を適切に排水する「雨仕舞い」の知識は大切なので、それをわかった上で、施工を依頼してくれるとありがたいですね。
ありがたいことにお客様から「女性の職人の方がいてよかった」と言っていただけることがあります。
元請けの営業さんも「女性の職人さんが入ると、営業しやすい」と言ってもらえることがあります。自分
では女性であることをあまり意識したことはないのですが、お役に立てていたら嬉しいです。
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