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大阪府住宅供給公社、「空き家」団地に子育て家族を呼ぶ

大阪府住宅供給公社、「空き家」団地に子育て家族を呼ぶ

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要約すると

・隣り合う住戸2戸をつなげて1戸にするリノベーションが、人気
・子育て世代の住みやすいゆとりある空間を、DIY部分を残し提供
・需要が低下する住宅分野の再構築が主眼


2戸を1戸にまとめた「ニコイチ」リノベ

 大阪府住宅供給公社が取り組む、隣り合う住戸2戸をつなげて1戸にするリノベーション物件「ニコイチ」が人気だ。2015年度から開始したプロジェクトで、2年間で入居希望者の平均応募倍率が7倍を記録。2017年度は香里三井団地(寝屋川市)と茶山台団地(堺市南区)の2カ所で9プラン・10戸を施工し、1月下旬から募集を始めている。

大阪府住宅供給公社 香里三井C団地の外観香里三井C団地の外観。棟と棟の幅にゆとりがあるので低層階でも日当たりが良い

窓辺を中心に人が憩う

 「ニコイチ」とは、従来の1戸あたり約45平米の住戸を、隣の住戸とつなげ約90平米という広さを実現するリノベーション。空き家が目立つ団地で、子育て世帯が住みやすい住居に一新するのが目的で、ゆとりのある、快適な住空間を実現する取り組みだ。

 香里三井団地では、「窓」をテーマに4プラン・5戸のリノベーションを実施。団地のある緑豊かな丘陵地の高台から望む風景を生かすために、パイン材を使った内出窓をデザインしているのが全戸共通の特徴だ。家族や知人、友人などが憩える空間をつくり出すのが狙い。中でも象徴的なのは、窓辺の床を小上がりにし、天井も傾斜させた「窓間」。一見、内出窓とは思えない大胆な空間に仕上げている。

 4つのプランの中で最も遊び心にあふれているのは、部屋の中にある独立した小さな窓間を寝室にした「寝窓間がまるで秘密基地のような家」。寝窓間から望む街の風景を独り占めしている気分になれる、まさに秘密基地のような空間を演出した。「くつろぎの縁側窓間がある家」もユニーク。居住面積を2倍に広げたメリットを生かし、ベランダ側に横長の窓間を設計。パイン材の床板が縁側のように伸びる窓間には、団地とは思えない開放感がある。

大阪府住宅供給公社 「寝窓間がまるで秘密基地のような家」「寝窓間がまるで秘密基地のような家」。
窓間と手前の部屋との仕切りとして、カーテンを取り付けることも可能

 「住まいながらDIYが楽しめる家」では、住戸の半分を畳窓間などにリノベーション。六畳和室や洋室などの既存部分は住民が好きにDIYできるよう、あえて残した。また「出窓がアクセントとなる家」では、あえて窓間を設けず、バリエーション豊かな内出窓だけで構成。窓間がない分、リビングを広く使え、家具などを自由に配置することができる。

 リノベーションを担当した技師の宮北祐輝氏は「構造梁があるために、一部床から天井までが低い場所もある。新築ではまず見られないリノベーションならではの面白さを楽しんでいただければ」とコメントした。

大阪府住宅供給公社 「畳窓間」で遊ぶ子供を見ながら、キッチンに立つこともできる「畳窓間」で遊ぶ子供を見ながら、キッチンに立つこともできる

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