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インボイス制度の実態未登録の一人親方5%に「今後、取引をしない」と圧力

インボイス制度の実態 未登録の一人親方5%に「今後、取引をしない」と圧力

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一人親方の52%が登録済

昨年10月のインボイス制度導入から半年が経ち、実態が明らかになってきた。全国建設労働組合総連合(全建総連・東京都新宿区)が4月5日に公表した「インボイス制度の導入前に免税事業者であった一人親方アンケート」の結果によれば、2176人の一人親方のうち、約6割が「登録事業者になった」あるいは「なる予定」だと回答した。一方、4割の回答者が「登録していない」という回答だった。

一人親方の52%が登録済 インボイス

全建総連のアンケート結果より引用

単価は据え置きが65%

アンケートでは、登録していない事業者の約5%が、取引先から「課税事業者にならないと今後、取引をしない」と告げられたことも明らかに。さらに約7%が「課税事業者にならないと、値引きをする」と通告されていた。登録した1069人のうち、約65%にあたる696人が、「価格は据え置き」だと回答。消費税分を負担している。

約半数が登録を求められる インボイス制度

単価は据え置きが65% インボイス制度

全建総連のアンケート結果より引用

同アンケートは昨年11月20日~12月25日に、全建総連が建設経済研究所(東京都港区)と共同で実施したもので、全国の一人親方2882人(回答者の60%が町場や工務店などの現場で働いており、48%を60歳代以上が占める)から回答が寄せられた。

また、「インボイス制度の導入をきっかけとして、仕事をやめる可能性はありますか」という問いに対しては、有効回答者数2088人のうち、9.1%にあたる189人が「収入が減るならやめる」と回答。4.1%にあたる85人が「収入が減らなくても、手続きが面倒ならやめる」と回答した。「まだわからない」という回答を選んだ34%と合わせると、5割弱の一人親方が将来に不安を覚えている結果となった。

「この制度が始まって以来、登録するにせよ、しないにせよ、減収になっている人たちは多い。これから先、一人親方にとって有利になるような政策はなさそうなので、この状況が続くのではないか、と危機感を持っています」(全建総連の担当者)

別の調査では、一人親方の7割が「確定申告の業務が煩雑になった」と捉えていることも明らかになった。労災センター共済会(東京都江東区)は、2023年分の確定申告済みの建設業の一人親方103人を対象に調査を実施。インボイス制度導入後の確定申告について質問したところ、「5時間以上増加した」という一人親方が約18%に及んだ。



インボイス制度導入後、初めて確定申告を行い、以前と比較して確定申告のためにかける時間はどの程度変化しましたか

インボイス制度導入後、初めて確定申告を行い、以前と比較して確定申告にかける時間はどの程度変化しましたか
労災センター共済会 一人親方の確定申告に関する実態調査 n=103

なお、鈴木俊一財務大臣は3月27日の国会でインボイスに関連する負担を危惧する野党側の意見に対して次のように回答している。「事務負担が想定以上に重いといったご指摘につきましては、民間のアンケート調査などを分析しているほか、各省庁において事業者が実務上抱える課題などについて、把握に努めているところであります。把握した課題に対しましては特例措置(2割特例)のさらなる周知を含め、引き続ききめ細かく丁寧に対応してまいりたい」

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