省エネ補助金「子育てエコホーム支援事業」の申請で不具合が続出、国が公表しない理由

「申請において、ごく一部のケースで、画面がフリーズしてしまう等の事象を把握している。サーバー起因の不具合が多いが、中には申請事業者様の機器、使用環境により発生しているケースもある」（子育てエコホーム支援事業事務局）

住宅の省エネ改修などを促進する国の補助事業「子育てエコホーム支援事業」の交付申請サイトで、不具合が生じていることがわかった。あるリフォーム会社によれば、申請画面を開き、写真や書類を添付して申請ボタンをクリックすると、画面が先に進まなくなるというエラーが何度も発生。申請ができない状態が一週間にわたり続いていた。

「写真や資料を添付して次のページに進む際、くるくると回る表示が出る状態で動きが止まってしまう。ようやく先に進んだと思ったらエラーが出て、添付したデータが消えていました。一週間、同じ申請を繰り返してようやくできた、ということがありました」（同社担当者）

新築やリフォームを手掛ける別の建築会社の担当者は、自社だけでなく、同様のエラーが全国の同業者間で頻発していると明かす。「私を含めてたくさんの仲間が大変苦慮している状況です。2500億円もの巨額の税金を投入しておきながら、このシステムエラーやコールセンターの対応の悪さはあまりにもひどすぎる」。同担当者は事務局に問い合わせたが、すぐに回答が得られず、折り返しを2週間以上、待っている状況だ。

 子育てエコホーム支援事業のホームページ（事業者向け交付申請サイトとは別）では、交付申請の際の不具合について公表していない

 

事務局で個別に申請をサポート

本紙が主幹する国交省住宅局に問い合わせたところ、複数の事業者から不具合が発生している、という声が挙がっていることを認めた。「事業者よりそのような声があるというのは聞いています。システムのことですので、事務局に原因について調査してもらい、改善するように指示をしています」

事務局からは次のように回答があった。「申請システムエラーにより、一部の申請事業者様にご迷惑をお掛けしており、申し訳ございません。不具合により申請が進まない申請事業者様には今後とも、事務局にて個別に伴走し、申請が完了するまで誠意をもって対応に努めます」

消費者（工事発注者）が閲覧可能な公式サイトでの発表を行っていない理由について、国交省住宅局は不具合が局所的で、原因や頻度が掴めていないことを挙げる。「全員が全員ではなく、一部の方で問題があると認識しています。どういう時にエラーが起きるか、一件一件特定できてはいません。システムだけでなく、パソコンの環境などに起因するケースもあります。事務局ではお問い合わせをいただいた際に、個別に対応いたしております」

なお、同補助金は当初、3月29日より交付申請受付を開始すると発表していたが、同日にシステム不具合が発生したために4日後の4月2日に延期されていた。

※本記事は5月20日時点で寄せられた情報や取材を元にしており、掲載時に改善がなされている可能性がある。