有料会員登録で全ての記事がお読みいただけます

さくら、「町の電気屋さん」がリフォーム参戦

さくら、「町の電気屋さん」がリフォーム参戦

このエントリーをはてなブックマークに追加

 かつては、どこにでもあった町の電気店。しかし、家電量販店の隆盛、後継者不足といった逆風を受け、1980年代には全国に約6万店あった専門店が現在は約3万店、2020年には1万5000店になると言われている。そうした中で、電気店から舵を切り、リフォーム事業への展開を図ることで成長を遂げた企業がさくら(大阪府交野市)だ。

太陽光発電で電気部門も2億2000万円に成長太陽光発電で電気部門も2億2000万円に成長

地域密着の強みを生かしたリフォーム

 さくらの前身は、パナソニックのナショナルショップを40年にわたり営んできた「さくらデンキ」。家電販売を行いながら、顧客の要望に応える形で、15年ほど前からリフォームにも着手していたという。

 しかし、当時のリフォームでの売り上げは年間2,000万~3,000万円程度。家電での売り上げを合わせても、年商はおよそ1 億円ほどだった。大型家電量販店の台頭などもあり、電気が中心の経営では今後の収益増加は難しいと、二代目社長である吉村健二社長は考えた。

 「長年のお付き合いであるお客様からのリフォームの要望は多かった。ただ、電気との二足のわらじでは、リフォームの精度もスピードも上がりませんでした」

 そこで2005年、吉村社長が専任として、社内に「リフォーム部」を設立。小さなことでも話しやすい「町の電気屋さん」だからこそ聞こえてくる顧客の要望に応える形で、ニーズがあれば外壁工事や塗装など、規模の大小・ジャンルを問わず施工したという。

 リフォーム部の売り上げは、2006年度には7,000万円に成長、翌07年には8,000万円、そして2008年には1億2,000万円と順調にアップ。この時点で「さくらリフォーム」として別会社を設立した。

 その後も、2013年度にはさくらリフォームで3億3,000万円、太陽光発電を電気にカテゴライズしていたこともあり、さくらデンキで2億2,000万円、合わせて5億5,000万円の年商を達成した。

 リフォームのメーンは、売り上げの半数を占める外壁工事。リフォーム工事件数422件( 14年度)のうち、外壁工事が80件、客単価は約160万円だ。屋根も含めた張り替えが多く、屋根の葺き替えのみが20件、屋根の葺き替えプラス外壁塗装が20件、残りが外壁塗装だ。

 「町の電気屋さんとして利用してくれているお客様との信頼関係が、なによりも大切。『さくらさんが勧めるならそれにするわ』と、信用してくれているからこそ、大規模な工事でも任せてくれます」(同社長)

 単価が800万円を超える全面改装も年間に約10件。こうした積み重ねが口コミとして、同社が重点的に集客する1万2,000世帯に広がり、さくらリフォームの認知度を上げていくのだという。

地域のニーズに応えるサービスを提供

 トータルで顧客の要望に応えるべく電気部門の経営も継続してきた同社。5年前、交野市の電気店が立て続けに3店舗廃業したことも追い風となり、業績は毎年15%ずつアップしているという。

 「電気屋さんの大半は、ここ30~40年間、ずっとメーカーに頼りっきりで経営をしてきた。自立の仕方がわからない人が多いのです。しかし、お客さんに玄関から迎え入れられる町の電気屋さんは、プライベートな話までしていただけるほど顧客との距離が近い。だからこそ聞こえてくるニーズがあるのに、それに耳を傾けられていないのです。極端な話、電気屋さんがセキュリティ工事やお買い物代行をしたっていい。そうした顧客満足度の高いサービスを提供できれば、自然と業績にもつながっていくのでは?」と吉村社長。町の電気屋さんとして培ってきた顧客との信頼関係を生
かし、より顧客満足度の高いサービスを提供していきたいと話す。

 いま目を向けているのは、不動産仲介業。「地元ならではのつながりを生かして、売却を迷っている物件や、不動産購入を考えている人たちにアドバイスやサポートができるよう、また新たな体制を整えていきたいですね」。

 リフォームだけでは、顧客の最終満足度に限界があると話す吉村社長。より地域住民のニーズに総合的に応えられるよう、更なる力量アップを目指す。

毎日ニュース配信中!リーフォーム産業新聞公式LINE

リフォーム産業新聞社の関連サイト

閉じる