棟梁を中心としたチーム制、残業時間の管理、育児休暇制度など、ユニークな仕組みを導入し、約30人の大工を雇用する工務店がある。それが谷口工務店(滋賀県蒲生郡)。社員大工による施工品質の高さと設計力で、前期は、新築、リフォームで14億円を売り上げた。谷口弘和社長に話を聞いた。
築100年を超える古民家をリフォームしたショールーム「大津百町スタジオ」
大卒の職人採用
同社は会社設立当初から大工の社員雇用を開始。谷口社長は「工務店こそ大工、棟梁を育てるべき」と話す。
「現代の大工って、言わば一匹狼。仕事は請け負うだけ、人を育てない。でも本当の大工、棟梁と呼ばれる人たちは、本来部下を抱えて人を育て、設計や経営の知識もある人格者であるべき」
現在、大工と設計担当は大卒を中心に新入社員を雇用。滋賀の一工務店である同社に、なぜ学生が集まるのか。その1つが、充実した福利厚生や教育制度にある。
社会保険や雇用保険を始め、3年前から残業代の支払いを、みなし残業から実際の労働時間に応じた全額支払いに切り替えた。現場で忙しい大工のために、スマホで出退勤の時間を記録できるアプリを導入し、勤務時間を計測している。
チーム制や経営会議も
また育児休暇制度も導入し、今年男性社員が取得した。「『男性』の『大工』が『育児休暇』を取った例は、日本で初めてでは」と谷口社長も胸を張る。

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