積水ハウス、積水化学工業の大手ハウスメーカー2社が、そろって新たなリフォーム戦略を打ち出した。両者ともリフォーム売上高が1000億円を超えるトップ企業。さらに規模を拡大し、新築事業ともう一つの柱に育てていく考え。各社の新商品と狙いについて解説する。
積水化学工業 リフォーム売上高の推移

積水ハウス リフォーム売上高の推移

改修適齢期迎える10万棟のOB
積水化学工業(東京都港区)は7月11日、新たなリフォーム商品「GREEN SHIFT!(グリーンシフト)」を発売した。
これは、太陽光発電システムとリチウムイオン蓄電池、HEMSの3設備をセットにして提案するというもの。価格は太陽光発電システムが4キロの場合は360万円。今期の受注は800件で、受注高は30億円を計画している。
狙いはOBからのリフォーム受注の拡大だ。同社が目をつけたのは、これから築20~30年の「リフォーム適齢期」を迎えるストックの増加。同社の総ストック数は52万棟強あるが、そのうち築15~19 年の物件は約10万件もある。
さらにOBの太陽光搭載率は31%、HEMSは7%、蓄電池は2%となっており、今回の3点セットの潜在需要がかなりあると見込んでいる。「今後のリフォーム市場の動向の1つは、建物の劣化が年々進んでいくこと。新築のセキスイハイム・ツーユーホームに搭載している最先端の設備を既築住宅にも提案していきたい」(執行役員・営業統括部長、桶谷省氏)
太陽光・蓄電池・HEMSの3点セット
積水化学工業「GREEN SHIFT!」

太陽光はシャープ製、蓄電池はシャープとの共同開発品の屋内設置型。容量は4.8kWh。従来、太陽光と蓄電池のそれぞれにパワーコンディショナーが必要だったが、1台で対応できるハイブリッドパワコンを採用。またコンパクト化したことにより、住居の2階に設置も可能となった。サイズは50センチ角サイズ。HEMSは独自開発した「スマートハイム・ナビ」のリニューアル版を採用。
OB以外に焦点19拠点で営業
積水ハウス(大阪府大阪市)のグループ会社、積和建設は新たなリフォームブランド「Re:QUEST(リ・クエスト)」を開始した。
全7シリーズのリフォーム商品を提案する。種類は設備・インテリアリフォームの「リ・クエストi」の他、マンションの「M」、エコの「e」、太陽光発電の「S」、高齢化対策の「UD」、外壁・屋根の「EX」、外構・植栽の「G」となる。一部の設備交換は価格が分かりやすいように工事費込みのパック商品にしている。
狙いは積水ハウスOB以外からのリフォームを新規開拓すること。積和建設は国内19の会社でリフォーム事業を手掛けているが、共通したリフォームブランドや商品を持っておらず、消費者へのPR力が欠けていた。全社で「リ・クエスト」を提案することによって新規の売り上げ拡大を図る。
積和建設は現状200億円ほどのリフォーム売り上げがある。しかし、実際のところ8割は積水ハウスの新築営業マンがお客さんとの商談中にリフォームに切り替わった際の紹介がメーン。純粋な新規ユーザーへのリフォーム提案はまだ十分でないため「積和建設のリフォームは、まだまだ伸びる余地がある。新ブランド立ち上げは本気でリフォームをとっていくという意味合いです」(積水ハウス広報・寺澤伸一課長)
新規重視かOB重視かの方針は違うが、両者ともさらにリフォームの売り上げを伸ばしていく考えは変わらない。
新規開拓を伸ばす7種のリフォーム 積水ハウス「Re:QUEST」
一部商品は商品代と施工費を一体化したパック商品にしている。例えば、「LDK Re:スタイルパック」は、ダイニングとキッチンとリビングを一体化し、内装材、水まわり設備等をすべて一新するもの。価格は198万円(16帖相当)。その他、「洗面Re:スタイルパック」は、無垢のパイン材のキャビネットや美濃焼タイルのカウンターで作られた洗面台などで洗面室を一新する商品。
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