新築の伸びや新興国向け輸出支えに通期でも増収増益見込む
TOTOがこのほど発表した2011年度上期決算は増収増益で、売上高2119億円、経常損益が62億円の黒字(対前年同期比4.3倍増)だった。内需は当初の見込みを上回るペースで震災ショックから立ち直っており、ことに新築市場向けが伸びた。外需もまた、欧米市場の不振を新興国市場の拡大がカバーした。
▲TOTOの需要分野別売上高(2011年度通期計画)
売上全体の約8割を占める住宅設備事業国内部門は売上高が1740億円と、前年同期比で3%増となった。同社はその背景として、①昨年8月発表の新商品の好調、②東日本大震災で滞っていた生産・販売の回復、③震災後の復興特需による新築売上の増加―――などを挙げる。
利益面ではコスト削減の効果が大きかった。従来からの仕入れコスト削減に加え、輸送形態の見直しや生産拠点の再編、さらには商品カラーの絞込みといった抜本的な改革を実施したことが奏功した。
震災の影響に関しては、主力製品のネオレストが一時受注停止に追い込まれるなどレストルーム(トイレ)が部品供給停止のダメージを引きずり、売上高は前年比1%のマイナスとなった。バス・キッチン系(水栓機器、浴室、キッチン・洗面)はリカバリーが早く、いずれもプラス。なかでも浴室は12%のプラスと2ケタの伸びを示した。
海外部門は欧州と米国で景気不振の影響を受けるも、中国とアジア・オセアニア市場が躍進した。中国に関しては、インフレ抑制のための金融引締めによる消費マインドの冷え込みが懸念されてきたが、「TOTOを高級ブランドに位置付ける戦略が実を結び、現地通貨ベースでも売上高が前年比25%増となった」(伊藤健二副社長)。
水まわり全商品で増収見込み
2011年度通期の見通しに関しても、同社では好調の流れが続くとみている。売上高は265億円増の4600億円、経常利益は60億円増の205億円を計画。商品別では浴室の11%増を筆頭に、キッチンが5%増、レストルームが3%増───など。全商品でプラスを見込み、通期では増収増益の計画だ。
国内住設事業に関しては、新商品効果は一巡するものの需要は底堅く、住宅メーカー各社への提案などの販売強化策が好業績に結びつくとしている。新築着工は基本的には堅調に推移するとみているものの、人口減による市場成熟は不可避であることを認めている。フローからストックへと国内住宅市場が様変わりしていくなか、強みのリモデル事業では、ショールームによる需要創出などに力を注ぐ構えだ。

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