有料会員登録で全ての記事がお読みいただけます

どこでも水回り設備が増設可能に世界で使われるポンプを日本でも普及

どこでも水回り設備が増設可能に 世界で使われるポンプを日本でも普及

このエントリーをはてなブックマークに追加

SFA Japan 荻野雄仁代表荻野雄仁代表

トイレやキッチンなどの排水を強力に押し出す排水圧送ポンプの開発と販売を行うSFA Japan(東京都中央区)。1958年にフランスでの創業以来、65年以上にわたりどこにでも簡単にトイレや洗面台を増設できるようにするポンプの提供に徹することで、実績と評価を積み上げてきた。日本法人は設立から14年を迎え、当初からの販売実績数は約200倍に増加。荻野雄仁代表にこれまでの歩みと目指す方向性を聞いた。

半世紀前からポンプを普及

──もう半世紀以上の歴史があるポンプを日本でも普及させているわけですね。

はい、日本での法人登記は2011年6月ですが、フランスで創業したのは1958年です。創業した当時、半分以上の住まいに独立したトイレがなかったそうでして、建物を維持したままで新たにトイレを作るために、この排水圧送ポンプが開発されました。その後、ヨーロッパをはじめとする世界中に広まっていったのです。

SFA Japan 汚物を粉砕して協力に押し出すSFAの排水圧送ポンプ汚物を粉砕して強力に押し出すSFAの排水圧送ポンプ

──世界で需要があったということですね。具体的にはどのような商品なのですか。

排水圧送ポンプという名の通り、排水を圧力で強力に送っていくポンプです。小型のユニットですが十分な能力を持っており、既存の住まいでも、水回り設備を設置したい位置に排水管を持ってくればよいだけなので、基本的にはどこにでも設置できます。

なるべく購入しやすい価格にしている点も特徴で、定価を決める際、象徴的なエピソードがありました。創業者が日本に来た際、日本でパンの値段はいくらだと聞かれたのです。おそらくバゲットのことだと思いますが、日本で言えば牛丼一杯くらいの感覚でしょうか。つまり、生活者の目線で、これだったらお金出しても良いと思えるようなものでありたいと考えました。そこから定価を考え、当時は14万7000円(2025年現在は16万8000円)にしたのです。

SFA Japan トイレの背面に設置するだけの簡単工事が特徴トイレの背面に設置するだけの簡単工事が特徴

──面白いですね。なるべく高く買ってもらうのではなく、商品を普及させるために庶民の肌感覚で価格を決めたわけですね。どのような場合に利用されるケースが多いですか。

水回り設備の増設・移設をしようとすると、排水勾配の関係で床をかさ上げしないといけない場合があります。そうすると大掛かりな工事となり、お金と時間、人手がかかってしまいます。われわれの商品は、トイレの後ろに小型のユニットをつけるだけで、汚物を粉砕し、細い管でも汚水を上や横に圧送できる。床工事をする必要がないので、基本工事は1日で終わるうえ、低価格で済むわけです。

──トイレの増設など、いろいろな需要がありそうですよね。日本でもすぐに受け入れられたのですか。

実は日本で販売した当初は、営業先で「売り方が分からない」「お客さんのイメージができない」などと辛辣なことも言われました(笑)。ただ、一部のリフォーム店や設備工事屋さんが「こんな商品があって、工期や費用が抑えられるらしいよ」とエンドユーザーにも紹介してくださったことで、少しずつ導入が進んでいきました。「これは高齢者や地下建物専門の商品だから、そこに特化して売った方が良い」などとアドバイスをいただいたこともありましたが、すそ野を広げて売り続けてきたことで、住宅だけではなく商業施設にも利用され、販売数が伸びてきたのだと思っています。おかげさまで、創業当時と比較して年間の売り上げ台数が約200倍にはなりました。

トイレの増設が1日で可能に

SFA Japan さまざまな場所にトイレの設置が可能にさまざまな場所にトイレの設置が可能に

──住宅のリフォームでは、具体的にどのような場面で使われるのでしょうか。

おもにトイレの増設です。戸建て住宅の2階にトイレを増設する場合、圧倒的に早くかつ安く工事ができます。床下に汚水を流すための太い排水管を通す従来の工事だと、工事は1週間、金額も100万円を超えるケースがありますが、1日で30万円ほどの費用から可能になります。ほかには、キッチンや洗面台を移設する際も、このポンプをつけるだけで自在にレイアウトできます。

SFA Japan キッチンの移設や水回りレイアウトの変更などさまざまな利用が可能キッチンの移設や水回りレイアウトの変更などさまざまな利用が可能

──アイデア次第で利用の用途は広がりますし、最適な提案にもつながりそうです。

過去にちょっとした提案でフルリフォームを終えた翌月にすぐ再受注できた事業者もいました。施主宅はおばあちゃんと子ども家族の2世帯住宅。トイレと浴室、キッチンをすべて替えたので、通常は20年後くらいまで交換のリピートオーダーのタイミングはないですよね。でも、事業者の方が、おばあちゃんと話をした際に、「自分は部屋でポータブルトイレを使っているので、リフォームしたトイレは使えないんだけどね...」と話していたのを聞いて、追加のトイレ増設を提案。再受注につながったのです。

──ユーザーの課題解決をしっかりと行うことができれば、需要はいくらでも生まれるということですね。

伝えたいのは、今話したような対応を事業者の方々がレパートリーの1つにしていただければ、ユーザーのリフォームに対する期待をもっと大きなものにできるということです。もちろん、われわれの商品について知っていただいていることが前提にはなりますが、住まいにできることがないか、暮らしと住まいが新築時・入居時からずれてきてしまっていないかをぜひヒアリングしていただきたいです。

水回りを簡単に増設・移設できる商品があることを知ると、暮らしを劇的に改善できる可能性がありますし、そこには商機もたくさんあると思います。われわれの商品を知らないがために、「床をかさ上げして工事に1週間、費用は100万かかりますがどうしましょうか?あっ、諦めますか」というのはなくしていけたらうれしいですね。

「良いものを切らさず売る」に徹する強み

SFA Japan 2025年5月には東京のショールームをリニューアル2025年5月には東京のショールームをリニューアル

──将来的には、どのような事業展開を考えていますか。

実は、われわれのグループは面白い会社で、「自分たちで勝つところを決めて、そこで圧倒的に勝つ」ということを続けてきました。小型で、求めやすい商品に保証をつけて売る。さらに、在庫を切らさないというのは、ほかの誰にもできない強みと感じています。日本でも数カ月分の商品在庫があるので、コロナ禍の患者病棟やオリンピックの選手村などで100台単位の受注があった際も、在庫を切らしたことはありません。商品カラーが白一色なのも、シンプルに性能が良いもの、自信のあるものを売り続けるという考えからです。これまで方針がぶれずにきたからこそ、ビジネスが強くなり世界で展開できていると感じます。

とはいえ、最初の頃は不安になり、フランス本社に「早く売り上げを上げるためには、われわれで工事までした方が良いのでは?」と提案したこともありました(笑)。それに対して、「われわれがやるのは工事ではない。工事は、そこに強みのある会社がやるべきで、われわれは良い商品を売るという生業に集中すべきだ。だから、売り上げは急いで上げなくても良い。商品は良いのだから、当たり前のことを着実にやれば、絶対に結果はついてくるから大丈夫だ」と言われたんです。これには衝撃を受け、すごく感動しました。われわれは、その強みをさらに磨いてくことに徹して、これからも展開していきます。

会社概要

SFA Japan

会社名 :SFA Japan
本社所在地 :東京都中央区日本橋箱崎町20-3 箱崎公園ビル7階
TEL :03-5623-3151
設立 :2011年
従業員数 :11名
資本金 :9997万円
事業内容 :排水圧送ポンプユニットの製造および販売

この記事の関連キーワード : PR SFA Japan キッチン トイレ フランス ポンプ 排水圧送ポンプ

毎日ニュース配信中!リーフォーム産業新聞公式LINE

リフォーム産業新聞社の関連サイト

閉じる