三協立山・三協アルミ社(富山県高岡市)は、建築家の視点を取り入れた全く新しいアルミ建材の新商品概要、第1弾を発表した。同商品は今春からスタートした5組の建築家と住空間を考える「SACLAB(サクラボ)」プロジェクトの中から生まれたもので、2013年10月21日の発表会では7つのフェンス要綱が公表された。来春にはこのうち約半数を実際に商品化し、残りも順次発売していく方針だ。
プロジェクト名の「SACLAB」はSankyo Alumi Creative Laboratoryの訳で、建材の新たな価値創造が大きな目的だ。発表会で三協アルミ社の蒲原彰三社長は「これまでと変わらずお客様からご支持をいただくために、我々が取り組まなければならないこと、それは建材の新たな価値創造」と、「SACLAB」にかける思いを語った。
初年度である今年のテーマは、「新しい境界」。従来の敷地境界に利用するフェンスなどの建材は、あくまで境界線を明らかにする意味合いが強く、建築家の中ではその利用や存在に疑問を持つ声も多かった。そこで、敷地を仕切る建材をイチから見直し、5組の建築家が全く新しい発想のものづくりをスタートさせた。
例えば、東京大学大学院で講師を務める千葉学氏が企画したのが、住んでいる人が関わることで、できあがるコンセプトのフェンス「RING RING」だ。3つの大きさのリングがフェンスに取り付けてあるデザインで、リングは住民が自由な発想で利用することができる。植木鉢を並べれば、華やかな庭の一部となり、皿に餌をのせれば鳥や猫が集まるにぎやかな場所となる。庭いじりの道具のギャラリーに利用しても良い。そんな個々人の発想で作り上げるフェンスが「RING RING」のあらましだ。
住んでいる人が関わることでできあがるフェンス「RING RING」
また、納屋建築設計事務所の納谷学氏、納屋新氏は木をモチーフとし、デフォルメしたフェンス「Kaede」と「momi」を発表した。これは落葉樹と針葉樹がコンセプトであり、見た目は簡略化された木の形をしている。従来のフェンスは、高さや色の違いはあるにしろ、ひと続きの線として存在していたが、「Kaede」と「momi」は1本単位で成り立つまさに点のフェンス。つなげると家の境界線としての役割を担えるが、1本でシンボルツリーとしての利用もできる点が新しい。
有機的なモチーフの木をデフォルメしたフェンス「Kaede」「momi」
今後も「SACLAB」プロジェクトは続く。初年度の「新しい境界」に続き、インテリアから外構まで、さまざまな商品開発に取り組んでいく。
見通しを遮断するフェンスとオープン外構の中間に存在するフェンス「Air Block」
フラワーブロックを積み重ねたことで、塀自体が小さな庭のような演出のフェンス「Flower Block」
多孔質の保水建材(発泡アルミ等)を用いた蒸散効果によって周囲の温度を低減するフェンス「マイナス2.6℃」
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