施主が通常の生活をしながら工事を進めるリフォームでは、新築の現場以上に汚れや傷に注意しなければいけない。そこで注目したいのが養生材だ。建物や家具を傷や汚れから守るだけではなく、顧客満足度のアップにもつながる養生材を紹介する。
繰り返し使える商品が主流に
フローリングや壁を傷から守る養生材は、資材の梱包に使われているダンボールを流用したり、ベニヤ板を使い回して、現場の人が作って養生するのが一般的だった。しかし、ダンボールでは、強度が足らずに、重いものを落としたときにフローリングを保護しきれなかったり、ベニヤ板では、それ自体が傷や汚れの原因になってしまうことがある。
そこで近年一般的になってきたのがプラベニ(図1)だ。
対衝撃性・耐荷重性に優れ、落下物による損傷を防いでくれる。繰り返し利用してもベニヤのようなササクレがなく、何度でも利用することができる。軽くて扱いやすい点も普及した理由のひとつだ。
【図1】プラベニとは
プラスチックを素材として作られた段ボールシート。プラダン(プラ段)あるいはダンプラ(段プラ)として呼ばれているが、建設現場などではプラベニと呼ばれることが多い。
素材は、ポリプロピレンが使われることが多いが、ポリカーボネートのものも商品化されている。段ボールに比べて強度と耐久性、耐水性に勝っており、繰り返しの利用に堪える。水に強いので、雨にぬれる屋外での使用も可能。
また、素材そのものをカラフルに着色できると同時に、無色・半透明にして光を透過させることも可能なので、見た目の面白さと軽量さを生かして、内装や店舗ディスプレイの素材として使用しているケースもある。
床用の養生としては、再生パルプを素材にした商品も登場している(図2)。エムエフ(大阪府大阪市)のエコボードは、厚みがあって衝撃に強く、緩衝性が高く、現場が終わったときには、ダンボールなどの梱包資材と一緒にリサイクルに回すことができる。
【図2】リサイクル素材の「エコボード」
他の化成品の養生材と違い、再生パルプのみで作られており、フィルムなども付いていないので、ダンボールなどと一緒にリサイクルに回すことができる。

複雑な場所にも簡単に施工
サッシや窓枠、柱周りなども傷の保護が重要なポイントだ。「柱・枠」養生材の主流は、作業時間の短縮に着眼した「はめ込み」式が主流だ。
しかし、「作業時に外れることがある」、「定尺のためサイズ合わせが面倒」だったり、「かさばる」など、作業現場において使いづらい側面もある。 その点を解消した商品「クッション養生テープ」をニトムズ(東京都中央区)が発売している(図3)。
従来の養生テープに、クッション性をプラスした、ポリエチレンフォームにより緩衝性能をもつ商品。養生したい所に貼るだけで良い。カッターを使わずに手でカンタンに切れることから作業効率にも優れ、出隅や入隅など複雑な場所での養生にも便利なアイテムだ。
【図3】クッション養生テープ
ドアノブやドア枠・笠木・柱の養生ができるテープ。クッション性があり、傷が発生しやすい部位を守れる。

一人でできる簡単な養生資材
養生の役割として傷の次に大きいのが汚れの防止だ。リフォームの現場では、既存の内装や設備を撤去するときに、多くの粉塵が舞うことになる。そこで、ビニールシートなどを使って作業スペースを囲うことになるが、しっかりと養生するとなると、結構な作業時間が必要になる。
そこで便利なのが、ベル・グローバル・コーポレーション(東京都墨田区)が販売する簡易養生システム「ZIPWALL」(図4)だ。伸縮自在なポールが天井と床との間で突っ張り、強力な養生システムを設営できる。コンパクトで軽量なポールは一人でも簡単に養生できるのがポイント。養生テープも脚立も不要で、養生作業時間を大幅に短縮しつつ、しっかり粉塵をシャットアウトすることが可能だ。
【図4】簡易養生システム「ZIPWALL」
伸縮自在なポールが天井と床との間で突っ張り、強力な養生システムを設営。コンパクトで軽量なポールは1人でも簡単に養生ができる。

養生をしっかり行うことで、キズや汚れから現場を守るだけではなく、クレームや建築部材の交換、補修など無駄にかかるコストの削減につながる。現場がきれいになることで顧客満足度も上がり、リピートや紹介率のアップにもつながっていく。

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