省エネに関心が集まる昨今、住宅においては、断熱性をさらに高めることが重要課題となっている。特に、窓からの熱損失は大きく、冬季は熱の流出の37%、夏季は熱の侵入の59%を占める。つまり、窓の断熱性能を上げることができれば、住宅の高断熱化は格段に進む。そのための便利な製品が、今回取り上げる「ハニカムスクリーン」だ。
「蜂の巣」構造で空気を閉じ込めて断熱
窓の断熱リフォームには、ガラスを替えて性能を上げる、内窓を付けるなど、いろいろな方法がある。
中でも、手軽に窓の断熱性を高めることができるのが、ハニカムスクリーン。蜂の巣(ハニカム)状の構造をしたブラインドだ。このところ注目が高まっているが、実は歴史は古く、15年前からセイキ販売で扱っている。
【ハニカム構造】
スクリーン内部は蜂の巣状の構造になっている。
ハニカムスクリーンは、ハニカム内に空気を閉じ込め、静止空気層を作っている。空気は熱を伝えにくいため、この空気層が断熱効果を発揮する。冬には、暖めた室内の空気を逃さず、暖房効率がアップ。夏は、外からの熱の侵入を防ぎながら、冷房による室内の涼しい空気を逃さない。季節を問わず、快適な室温を保つことができる。
【省エネの仕組み】
ハニカムスクリーンの省エネの仕組み。スクリーン内部の空気層が断熱効果を発揮する。
(資料提供/ニチベイ)
さらに断熱効果を高めるには、窓枠にスクリーンを上げ下げするためのガイドとなるレールやフレームを取り付ける。窓との隙間をふさぐため、熱損失を最小限に抑えられる。
【断熱性を高めるオプション例】
窓枠にレールやフレームをつけることで、スクリーンと窓枠の隙間を遮へいできる。(資料提供/<トーソー)
住居に合わせて選べる豊富なバリエーション
ハニカムスクリーンは、セルサイズ(折りたたみ時の幅寸法)の違いで印象が変わる。セルサイズが小さければ、プリーツは繊細な印象になる。大きければ、ダイナミックな印象を作りだす。プリーツが出す表情の違いを考えながら、設置場所に合ったものを選べる。カラーバリエーションも豊富だ。
スクリーンの表情は、光の採り入れ方でも変わってくる。柔らかな光を採り入れられる採光タイプは、リビングや勉強部屋に最適だ。遮光タイプを寝室に設置すれば、部屋の外の光を気にせず安眠できる。部屋に応じて、タイプを使い分けるとよい。
採光と遮光のスクリーンを組み合わせたツインタイプも可能。ツインタイプは、スクリーンの開閉の割合を変えることで、光の採り入れ方を自在にコントロールできる。
【ツインタイプ使用例】
採光タイプと遮光タイプの組み合わせ。(資料提供/トーソー)
左:2つのタイプを組み合わせることで割合を調節し、シーンに合わせて使い分けることができる。
中:遮光タイプを閉じてたたむと、柔らかな日差しを採り入れられる。
右:採光タイプをたたんで、日差しを遮りながら、外の景色を楽しむこともできる。
スクリーンの開閉は、上から下へ開閉するスタンダードなものだけでなく、上下両方から開閉が可能なタイプや、横開きタイプなど、さまざまなものがある。トップライト用もあり、場所を選ばず設置できる。簡単に施工できることもあり、窓の断熱性能を上げる手段として、注目される。
ハニカムスクリーン 主なメーカーと製品
- セイキ販売 「ハニカム・サーモスクリーン」
- ニチベイ 「レフィーナ25」「レフィーナ45」
- トーソー「エコシア」
- P.V.ソーラーハウス協会 「ハニカム構造・断熱ブラインド」

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