毎年酷暑が続く夏には、エアコンなど空調設備の稼働時間が増えて光熱費も高くなる。そこでさまざまな省エネ対策が講じられる中、市場では屋根に施す遮熱塗料の効果が注目されている。塗料が太陽光線を反射・散乱して建物を温度の上昇から守る上、他のリフォームに比べて比較的簡単に施工できるのが人気の理由だ。
年々右肩上がりの出荷量
高日射反射率塗料(以下、遮熱塗料)による屋根の塗り替え施工が注目されている。その目的は、太陽熱による建物の温度上昇を抑えること。これにより、エアコンなど空調設備のコストダウンが実現、その結果、省エネルギー対策やヒートアイランド現象の防止策となる。
そのためか遮熱塗料の出荷量は年々増加している。日本塗料工業会によれば、この10年で5倍以上。近年では2010年が前年比の25%、2012年は20%の増加で1万トンが出荷された。
遮熱塗料出荷量推移(日本塗料工商会調べ)。2004年度時点では約1500トンの出荷量だったが、2012年度には1万トンを突破。
(※塗料・塗装のニュースデータベースサイト「COATINGMEDIA ONLINE」より)
太陽光線を反射して温度上昇を抑える
遮熱塗料が建物の温度上昇を抑えるのは、塗料の顔料の効果による。塗料には特殊セラミックや遮熱反射顔料が含まれており、これが太陽光の赤外線や熱を反射・散乱して、屋根の熱吸収をセーブする。とくに特殊セラミックには塗膜に吸収された熱を放射する働きがある。これらの働きにより、屋根の温度上昇が抑えられる。
遮熱塗料に含まれているセラミックの粒子が太陽光線を反射。これにより屋根の表面温度が下がり、室内温度も下がる。
(※『外装リフォームのいろは 健康安全編』より)
塗料に含まれた特殊セラミックや遮熱反射顔料が、太陽光の赤外線や熱を反射・散乱する。
(※日本特殊塗料 屋根用省エネ遮熱塗料「パラサーモ」カタログより)
遮熱塗料の日射反射率は、さまざまな屋根色にも対応している。白色が約90%と最高だが、明るめの中間色で70~80%、最も暗く濃い茶色や黒色でも40~50%の反射率を持つ。
室内温度を下げてエアコン負担を減らす
建物の温度は、屋根から伝わる太陽熱の影響を大きく受ける。夏季、住宅屋根の表面温度は65~80℃にもなるが、遮熱塗料を塗ることで屋根表面温度は15~20℃下げられ、屋根裏の温度も3~12℃下げられる。
この効果により、快適な室温を維持できる。エアコンの使用が結果として抑制でき、節電・電気代節約も可能になる。
近年、省エネ対策リフォームがよく採用されているが、屋根の塗り替えリフォームは、他の施工に比べ比較的簡単にできる。費用は、スレート屋根の場合1平米あたり3000円前後。天候が安定している時期に施工するのがよいので、それを考慮して提案していこう。
遮熱塗料主なメーカーと製品

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