LIXILグループで、ホームセンターを84店舗展開するLIXILビバ(埼玉県上尾市)。R&D(リフォーム&デザイン)センターの名称でリフォーム事業を展開し、2013年度の事業売上高は前年度比26%増の135億円を計上。今期も2ケタ増となる160億円を計画する。さらに、来期は200億円と事業の大きな拡大を見込む同社のリフォーム戦略に迫った。
売り上げ構成比が高い外構は商品展示が充実
売り場は入り口そばに
LIXILビバのドミナントエリアである埼玉県南部の春日部市。3月26日、国道16号線沿いに埼玉県では8店舗目となる「スーパービバホーム春日部店」がオープンした。売り場面積は約5000坪。その入り口左手、最も目立つ場所に同店舗の110坪のリフォーム売り場「R&Dセンター」が存在する。キッチンやバスの水回り商材から、外壁、屋根、太陽光、外構と何でも揃うのが特徴で、小売りの延長線上に位置づける場合が多い一般的なホームセンターのリフォームとは、一線を画す内容となっている。
スタッフも、ホームセンタースタッフが兼務したり、外部に委託したりするのではなく、独自採用を行い、接客スタッフ、営業はもちろんのこと、工務、プランナーまで自社で揃う。「リフォーム会社」と断言できる体制づくりが行われている。
同社のリフォーム事業は「R&Dセンター」が誕生した1998年まで遡る。それまで、若干の工事は行っていたものの、リフォーム事業を本格化するため、事業部を設立。現在では、全84店舗のうち71店舗(昨年は55店舗)にリフォーム拠点が存在するまでに拡大した。
このリフォーム拠点は、複数の展示品が並ぶ「R&Dセンター」と10坪以下の「リフォームショップ」の2種類に分かれ、それぞれ数は60カ所と11カ所。さらに「R&Dセンター」は、広い売り場面積を持つ33カ所のSVH拠点(店舗総面積約2500坪以上のスーパービバホーム内拠点)と、小面積の27カ所のVH拠点(ビバホーム内拠点)に分類される。
SVH拠点は、60坪から280坪の売り場面積をもち、特に広い面積を持つ店舗では、キッチンが12~13台、バス5~6台。トイレ12~13台と数多くの住設・建材商品が展示されている。岩槻店などは、屋外にも250坪のリフォーム売り場をもち、カーポートや門扉が複数並ぶ。
「売り場のフォーマットは特に一定ではありません。店舗ごとに改善、改良している形です」(笠崎光人執行役員・リフォーム事業部長)
スーパービバホーム春日部店にはキッチンだけで12~13台並ぶ
店舗ごとの売り上げ拡大へ
同社がこれだけ、リフォーム事業に注力する理由の1つがホームセンターという業種が店舗数の拡大でしか、増収につながりにくいからだ。リフォーム事業の拡大により、店舗あたりの売り上げを押し上げる狙いがある。実際、同社の全体売り上げに占めるリフォーム構成比は、12年度6・9%だったのに対し、13年度は8.1%と1.2ポイント増加した。今後は、リフォームの単価を高め、店舗ごとに売り上げ拡大につなげる戦略だ。
現在のリフォーム平均単価は、カーポート設置やトイレ単品交換などの工事は除き、約60万円。その中身を見ると1万5000円から2000万円まで対応幅は広い。
ただ、売り上げベースで考えると、100万円以上が6割を占め、笠崎執行役員は、「目指している工事単価は300万円。そのために工務、プランナーを置き、工事が終われば保証書を発行する」と話す。加えて、キッチンと浴室など営業マンの複合工事提案により、さらなる単価アップを進めていく。実際この2年で売り上げに占める100万円以上の割合は、5割弱から6割まで1割強向上している。
エリア別に商材を見直し
ただ、店舗売り上げを伸ばすのは、スタッフの成長スピードもあるため、容易なことではない。そこで、160億円を目指す今期は戦略の柱として、地域別に提案商材の見直しを進めていく。
「エリアによって出る商材に結構違いがあります。例えば春日部や岩槻のエリアでは、塗装の構成比が高い。また、300万円以上の工事であれば、躯体をさわるケースが多いため耐震工事などの提案要素もあります」(笠崎執行役員)
今期は、来年4月までのSVH出店計画がさいたま市の1店舗に限られるため、新拠点による売り上げ向上をあまり見込めない。リフォーム未出店店舗にリフォームショップを出す計画はあるものの、良くても月の売り上げは400万~500万円。消費増税による反動減がある中、提案の中身を変える戦略をとる。
そして、さらなる増収を見込む将来は、従来手掛けなかった領域への進出も考えている。
「今までは戸建て住宅中心でしたが、もう1つ考えられるのがマンション。私どもとしては、手付かずで残っています。あとは、賃貸住宅です。複数の物件を持っているオーナーさんも多いので、大きな提案ができます。そうした取り組みも考えていかないといけません」(同執行役員)
■売り上げ 135億円
■売り場数 71カ所(R&Dセミナー60カ所、リフォームシ ョップ11カ所)
■1店舗あたりの売り上げ目標(R&Dセンターについて)SVH拠点3億円、VH拠点1~1.5億円。
■リフォームスタッフ数(パートを含む) 570人、社員は110人
■1店舗あたりの人員 SVH拠点(営業5人、店舗接客6人、工務1人、プランナー1人)、VH拠点(営業2人、接客4人、工務とプランナーは複数店兼務)
■1店舗のキッチン販売台数 SVH拠点で月平均10台前後
■最も売れる商材カテゴリー 水回り商材と外構(この2カ テゴリーで売り上げの半分以上)
■100万円以上の工事の売り上げに占める割合 約6割
■月間工事件数(トイレなど交換工事含む) 3000~4000件

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1654号(2025/06/23発行)23面
-
1654号(2025/06/23発行)23面
-
1654号(2025/06/23発行)10,11面
-
1654号(2025/06/23発行)8,9面
-
1654号(2025/06/23発行)6,7面