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パナソニック群馬工場、月間40万坪の床材を生産

パナソニック群馬工場、月間40万坪の床材を生産

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 昨年、8年ぶりに内装建材シリーズを一新したパナソニックエコソリューションズ社(大阪府門真市)。新シリーズ「VERITIS(ベリティス)」には、樹種に合わせて色や艶を調整する木質建材加工技術を採用するなど、他社製品との差別化が図られている。同社の製品づくりにはどのような創意工夫がなされているのか。床材を多く生産している群馬県沼田市のパナソニック群馬工場のリポートから、その秘密を探る。

パナソニック群馬工場
パナソニック群馬工場
場所:群馬県沼田市
敷地:5万3869坪
製造品目:木質床材(84%)、木質内装材(12%)

雪降る山間に5万坪超の敷地

 群馬工場の創業は1950年。当初は製材業としてスタートし、65年に床材の製造を開始した。

 同工場が位置する群馬県沼田市は、赤城山や武尊山などに四方を囲まれた土地。同社ではこの冬場には雪が積もる山間地に、約5万3000坪の2つの工場と物流センターを保有している。

 同工場は同社の内装システム事業部門に属し、内装建材シリーズ「VERITIS」の木質床材を主軸に生産。同部門の年間売り上げ474億円のうち、36%を占める量の建材を製造しており、床材の生産量は月間35万~40万坪に上る。

 同工場のユニークな特徴として、営業と開発の部門を工場で持っていることが挙げられる。営業部門はユーザーから使用感をヒアリングし、開発はこのヒアリング結果を元に現場の発想で新たな技術開発に取り組んでいる。同社のフローリングに用いられる樹種の特徴に合わせた加工技術「WAT」の開発にも、このような独自の体制が寄与している。

単板の検査はすべて人の手で

 工場で行われる床材の製造は大きく分けると、製材所から送られた原木を加工して突き板単板を作る工程と、単板と合板を貼り合わせる工程からなる。

 単板の製造は、まずフリッチと呼ばれるレンガサイズの原木を、決められた木目の通りに並べて貼り合わせ、幅2メートル、30センチ角ほどの巨大な原木の塊を作る。最終的な床材の木目パターンが決めるこの作業は、すべて人の手で行われている。

 接着剤を付けたフリッチを、圧力を掛けて固めた後、いよいよ厚さ0.3ミリの単板を作る「スライス」の作業に移る。スライスは、写真の4メートルほどのスライサーで行われる。

単板は0.25~0.3ミリの厚さでスライスされる。出来上がったばかりのものは、蒸煮によってほんのり湿っている
単板は0.25~0.3ミリの厚さでスライスされる。出来上がったばかりのものは、蒸煮によってほんのり湿っている

 この作業の前に蒸気で木を柔らかくし、スライスしやすくするための「蒸煮」がなされており、スライサーの前は湿気を含んだ濃い木の香りが充満している。かつらむきのように薄くスライスされた単板は、不備がないか2人の作業員の手で確認され、この後の貼りあわせ工程に回される。

1分間に40~45枚のペースで次々に単板をスライスしていく。スライスされたものは、検査員の目と手で素早く検査される。小さな不備でもチェックするので、素人目には合格品と不良品の区別は容易につかない
1分間に40~45枚のペースで次々に単板をスライスしていく。スライスされたものは、検査員の目と手で素早く検査される。小さな不備でもチェックするので、素人目には合格品と不良品の区別は容易につかない
出来上がった床材の最終チェックは、2人1組の認定検査員が行う。上から自然光に近い蛍光灯の光を当て、色や艶の具合、不備の有無を確認する
出来上がった床材の最終チェックは、2人1組の認定検査員が行う。上から自然光に近い蛍光灯の光を当て、色や艶の具合、不備の有無を確認する

機械化により工員3分の2に

 床材の製造は人の手に頼らざるを得ない部分も多いが、同工場では様々な作業で機械化が進んでいる。それが特に顕著なのが、合板との貼りあわせの工程だ。以前は熟練した職人が2人1組で単板の両端を持ち、一枚一枚手作業で貼られていたが、現在は自動制御されたロボットアームが取って代わっている。

 工程の途中での検査も、多くの箇所でセンサーによる測定がなされている。着色と表面のコーティングを行う塗装作業では、塗料液の温度、塗布した液の量などが全量計測され、そのデータは各所に設置されたモニターで常時確認することができる。このような機械化は2011年頃から積極的に進められており、現在では同年に比べ工場の作業員は3分の2になった。このような機械化により、作業効率と質の安定性が向上した。

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