タカラスタンダードがリフォーム市場の"勝ち組"を目指した戦略をより重視する姿勢を明確に打ち出した。このほど開催された「お得意様新春懇談会」の席上、渡辺岳夫社長がその方針を明らかにしたもので、同社長は「水まわり市場は今後さらに厳しくなっていくが、リフォームは約5000万戸の住宅ストックを背景にしてかなりの規模の潜在需要がある。そこを誰が勝ち取るかが問題」と話し、今後のストック市場攻略に強い決意を示した。

最高級キッチン「レミュー」のデザイン性を向上
リフォーム市場は堅調に推移
新春懇談会は2月16日東京、24日大阪で開かれ、両会場合わせて1000人超が出席した。冒頭の挨拶に立った渡辺社長は、今後の住宅需要の見通しについて、「新築については大きく改善することはなく、今年はおそらく80万戸台半ばになる。人口減、世帯数の減少で近い将来70万戸程度の時代になると覚悟すべき」と予測。
一方、リフォーム市場については「消費増税の反動減の影響が一巡し、4月以降は回復すると見ている。ま1990年前後に年間160万戸近く建った住宅が築後20年を経過し、ちょうどリフォーム適齢期を迎えている。しばらくはリフォーム需要は堅調に推移するだろう」と話した。
さらに「リフォームも拡大基調がずっと続くわけではないが、今後は中古マンション流通市場が比較的速いペースで拡大すると予想されるので、安定した需要が必ず出てくる。市場全般の先行きは厳しいが悲観的には考えていない。むしろ環境は恵まれているとさえ思う」との見方を示した。
インクジェットホーローパネルを商品化
リフォーム拡大の具体策として「今まで当社は地方のリフォーム市場に強かった。これからは大都市圏、特に首都圏のリフォーム市場を攻略していく」と強調。「ただこれは簡単なことではない。特に都市部のリフォーム専門家の間では、残念ながら当社のキッチンが知られていない。もっとホーローの市場認知度を高める必要がある」と指摘。今後もショールーム新設などで営業活動を強化していくと話した。
都市部の顧客を意識した商品開発について、渡辺社長は「ホーローの技術革新」を強調。「高級感を生むロッシュ手法や光沢度をさらに引き出すパールホーロー手法が確立。デザインもかなり洗練されてきた。さらなる技術革新のため、インクジェット印刷技術のホーローへの応用を目指す。従来のホーローのイメージを一新するホーローを作ることがこの技術の目指すところ」と話し、今春にホーローキッチンパネルで商品化し、その後システムキッチン本体などにも活用していく方針を明らかにした。
営業利益200億円台に
今後の業績予想については「5年後の2020年までに売上高2000億円突破を実現したい。それとともに営業利益200億円台を達成し、収益性の高い企業を目指す。意欲的な目標だが、過去の実績から見て十分に実現可能」と説明。製造コスト削減、物流コスト抑制にもさらに取り組み、将来を見据えた強靭な基盤構築を進めていく姿勢を示した。
中高級品を強化、デザイン性・機能性をさらに向上
渡辺社長の方針発表のあとを受けて、土田明専務取締役営業本部長が2015年度の新商品、戦略商品を紹介した。
同社は昨年、普及グレードの商品強化を図ったが、「今年は中高級グレードの質を向上させ、便利な機能や新しいデザインの商品を値ごろ感のある価格で提供していく」と土田専務は語った。
主力のキッチンについては、最高級ホーローシステムキッチン「レミュー」の仕様強化を実施。最高級シリーズにふさわしいデザイン、バリエーションを追加し、扉カラーに「ヴィンテージ調」「ヘアライン調」を新しく発売する。またキッチンパネルについては、インクジェット印刷技術を用いたダイレクトクリア製法で開発した大理石柄、ウォルナット柄などの新しいデザインを発売。
洗面化粧台では、高級グレード「エリーナ」の機能を充実。中級グレード「ファミーユ」においてマンションなどの狭小スペースにも対応できるサイズ、新しい扉カラーバリエーションを追加する。

収納スペースを充実させた洗面化粧台「エリーナ」
浴室では、高級グレード「インペリオ」「プレデンシア」のホーロー浴室パネルに洗練された新デザインを追加。自由自在にサイズをオーダーでき、高齢者の在宅介護などにも柔軟に対応できる「ぴったりサイズシャワーユニット」の販売も強化していく。

システムバスの中高級シリーズのバリエーションを強化

間口・奥行きを細かく指定できる「ぴったりサイズシャワーユニット」
トイレについては、収納一体型トイレの機能、デザイン、施工性をさらに向上させる。また、ホーロークリーントイレパネルのフロア用パネルに幅が広いフリータイプを追加する。
同専務は「市場にはリフォーム市場と高齢者向け市場という2つの大きな需要の塊が潜在している。安全、安心、防災、エコといった付加価値のある商品を提供し、潜在需要の掘り起こしに努めていく」と抱負を語った。
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