中古住宅のリノベーションサービス「ちゅこリノ」を年間で約30件受注するアネストワン(愛知県名古屋市)。その平均単価は1400万~1500万円に上る。高額受注を次々に獲得している同社の青山信春社長に戦略を聞いた。
ユーザーの生の声をホームページで紹介
ライフスタイルを伝える
集客の中心となるのは自社ホームページ。施工事例をはじめとして、コンセプトを伝える動画、イベント情報、現場紹介など様々なコンテンツを用意。掲載しているリノベーション施工事例は約90件にも上る。
中でも大きな役割を果たしているのが、施工事例の約半数に併記されている住まい手のインタビューだ。記事の中では、リノベーションのきっかけから過程、そして、どのような暮らしを実現することができたのかを施主の言葉で紹介。心の動きが感じられる、リアリティがあるものになっており、ユーザーがリノベーションに対する具体的なイメージをつかむ助けになっている。
「ポイントは、竣工から3カ月以上が経ってからインタビューを行うこと。新しい住まいに、暮らしがなじんできた頃の様子を伝えることで、読み手がリノベーションを疑似体験し、空想を広げられるようになります」(青山社長)
リアル店舗も用意
また、1年半前にオープンしたインテリア・雑貨ショップ「トリノス」も集客に一役買っている。
店内には、オーダーキッチンや家具、雑貨などを展示。同社が提案する、キッチンを中心とした、自然素材に囲まれた空間を体感することができるようになっている。 「トリノス」を立ち上げた狙いは2つ。1つはOBとの関係を維持すること。気軽に立ち寄り、リノベ後の家具・インテリアの相談ができる場をつくることで、紹介や追加工事を獲得しやすくなる。
2つ目は新規見込み客の創造。イベント開催や雑貨・家具の販売を通じて、同社が提案するライフタイルに共感するファンをつくり出す。このファンが、将来の顧客になっていく。
「何よりも大切なのは応援してくれる方を増やすこと。イベントや住まいの様子をインスタグラムなどのSNSにアップしていただけたりするので、影響力は大きいです。お店の存在が浸透するには3年はかかると思いますが、段々と口コミを耳にするようになり、地元での受注が増えてきました」(青山社長)
グリーンや雑貨、インテリアなど、住まいを彩る
季刊誌を地域のお店に配布
同社では年に2回、春と秋に「トリノス」という季刊誌を発行。飲食店や雑貨店、アパレルショップなど、地域の商店約120店に配布している。
地域の商店約120店に季刊誌を配布
同誌のコンセプトは、「本物の素材を使って、愛着を持って暮らす」という世界観を発信すること。「植物」、「ガラス」、「木」といったテーマを設けた特集記事や、地域のお店の紹介、施工事例、イベント案内などを掲載している。
暮らしの提案だけでなく、その実現を助ける地域のお店を紹介している点がポイントだ。「植物との暮らし」を特集した記事では、地域にあるフラワーショップに取材し、設置例やアレンジ例とともに、お店の紹介も行っている。
「私たちが提案するライフスタイルにマッチする方が訪れそうなお店に置かせてもらうことがコツです。今では、全体の2、3割のお客様が冊子経由で来店されています」(青山社長)

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