新しい時代の新しい経営を目指す企業間ネットワーク「イクボス中小企業同盟」が7月28日に立ち上げられ、都内で発表会が開催された。
「イクボス中小企業同盟」とは、労働人口が減少し、育児や介護等で時間的制約がある社員が増加する中、経営・マネジメント改革を推進する中小企業間のネットワーク。同組織の事務局を務めるNPO法人ファザーリング・ジャパンは、2014年にイクボス企業同盟を設立。大企業のダイバーシティの推進やイクボス養成等を進めてきたが、日本の9割以上である日本企業の実情のもと、新たなネットワークを構築した。

建築業界からも2社が参加
ファザーリング・ジャパンの安藤哲也代表理事は、新組織の必要性について次のように話す。
「現在の管理職世代は若い頃から無制限に働いてきた人が多く、部下が育児や介護、病気などで時間制限することを理解し、育成することが慣れていません。また、会社としてもそうした制約社員のマネジメントは手探り状態です。中小でも経営手法や管理職のマネジメントを見直し、ダイバーシティなどの施策でキラリと光る企業も多い。中小企業間でネットワークを構築し成功事例などを共有することで、働きやすい職場づくりを目指します」
同組織の加盟企業数は現在20社。建築業界からも長岡塗装店(島根県)や、大堀商会(新潟県)が加盟している。大堀商会の大堀正幸社長は、次のような理由からワークライフバランスに取り組んできた。
「実は大きなターニングポイントがありまして、2012年の時に社員から妻がすい臓がんですといわれ、彼をワークライフバランスの推進リーダーとしました。今は、建設業ですから3K職場といわれる厳しい業界の中で成果をあげつつ、父子家庭としてやっています。そうした環境を作れたことで、他の社員にも横展開して、近況としては昨年からテレワーカーを導入し、6割から7割の社員が在宅勤務できるようにしました。建設業は労働集約型で職人さんが多いので、現場に行かないとできないことはありますが、それをなんとか今年度は多様な働き方ができる道を作っていきたいと思っています。ワークライフバランスを取り入れていくと労働時間が減りながら生産性をあげられるということを実践できたので、これを皆に知っていただきたい」
同盟の実際の活動としては、
(1)各地、業界内での加盟企業増加
(2)行政や経済団体と連携しイクボス養成のイベント・勉強会の開催。社内での取り組みの共有、
(3)同盟として(休暇制度の創設等)を行い、社会にメッセージを発信する―――
などを行っていく。

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