慶應義塾大学「藤原洋記念ホール」(神奈川県横浜市)で開催された健康・省エネシンポジウム(主催:健康・省エネ住宅を推進する国民会議)の中で、内閣総理大臣補佐官の和泉洋人氏が基調講演を行った。テーマは「健康寿命延伸の意義と課題」。ここではその講演内容の一部を紹介する。
内閣総理大臣補佐官 和泉洋人氏
高齢化の現状とライフサイクルの変化
本日は「健康寿命延伸の意義と課題」をテーマに、単に長寿なだけでなく健康も兼ね備えた生き方をしている「健康長寿」についてお話しします。健康長寿なら家庭や周囲の人々、社会に貢献でき、負担もかけず、色々なことに挑戦できますね。
まず初めに、現在の日本社会の高齢化の現状について説明します。もし人口に対する出生数(出生率)・死亡数(死亡率)が今の状況のまま変わらず一定で推移した場合、2013年には1億2700万人いる人口も、計算上(国際人口移動はゼロと仮定した推計値)は、冗談みたいな話ですが西暦3000年には約1000人になります(2100年には約5200万人、2500年には約44万人)。
また2030年には人口が約1000万人減り、2050年には3000万人減り、この時点で65歳以上の高齢者の人口率は約40%になります。
それから、ライフサイクルの変化についても注視してほしいのですが、厚生労働省が出している「厚生白書」や「人口動態統計」などをもとに夫婦の平均的なライフサイクルをデータでまとめました。その結果、1920年(大正期)の頃は、平均して夫が60歳、妻が56.2歳の時に夫が仕事を引退、そして平均で夫が61.1歳、妻が57.5歳の時に夫が死亡します。残された妻はそのあと平均で61.5歳の時に死亡する、というのが平均的なデータに基づくライフサイクルの形でした。
一方、2009年(平成21年)は夫65歳、妻が63.2歳の時に夫が引退、夫が80.8歳、妻が79歳の時に夫が死亡、妻は86.6歳で死亡という平均データが出ています。現在は長寿命化した分、引退後の15年~二十数年といった長い時期をどう過ごすのかが新たな課題になってきているわけです。
延びる「健康寿命」
そこで考えなくてはならないのが、日常生活に制限のない期間である「健康寿命」についてですが、実はこの「健康寿命」は間違いなく延びています。

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