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「リフォーム版長期優良住宅」は価値の高い家!?

「リフォーム版長期優良住宅」は価値の高い家!?

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 国土交通省が4月から始める「長期優良住宅(増改築)」の認定制度。狙いは良質な住宅ストックを増やし、中古住宅の流通を活性化させることだ。この「リフォーム版長期優良住宅」は不動産マーケットで高く評価されるのか。プロに聞いた。

住宅ストックの資産評価(住宅投資額累計と住宅資産額)住宅ストックの資産評価(住宅投資額累計と住宅資産額)

性能高い家は流動性も高い

リニュアル仲介 西生建社長 「高く評価されるだろう」と話すのは、不動産仲介の全国ネットワークを展開するリニュアル仲介(東京都新宿区)の西生建社長。

 「第三者がその住宅の性能について追認している安心感は、中古住宅購入者に影響を及ぼします。同じ立地にあれば、認定された住宅の方が認定でない住宅に比べて流動性は高いと考えます」(西生社長)

バイヤーズスタイル 高橋正典社長 また、不動産仲介に関する多数の書籍を執筆してきた、バイヤーズスタイル(東京都板橋区)の高橋正典社長は「性能が高く長持ちする家は高く評価される」と話す。

 同社では、取り扱うすべての物件でインスペクションを実施。建物の性能を見極めた上で売買仲介するが、性能の高い物件は高値で取引される傾向がある。築35年のある物件では、建物寿命が高いと判断し、相場よりも500万円上乗せして成約したこともあった。

 「安心感を求めて性能の高い住宅を希望するお客様は近年増えています。長期優良住宅は、国が、耐用年数100年という安全性に『お墨付き』を与えるようなものですから、当然求める人は増え、評価も高まると思います」(高橋社長)

住宅の資産価値は500兆円も減少

 そもそも国が問題視しているのが、住宅の資産価値の低さだ。国土交通省によれば、住宅への投資額に対して住宅の資産価値が実に500兆円程度減耗しているのだ。

 そこで国が取り組んでいるのが住宅の良質化。高性能の新築には長期優良認定を行ってきた。また、一昨年から長期優良化リフォームの補助事業をスタート。さらに、今年4月からは、高性能リフォームに対しても「長期優良住宅(増改築)」の認定が行われることになった。国が認定という「お墨付き」を与えることで、価値ある中古住宅として評価されやすくすることが狙い。

認知度に課題か

 不動産のプロも認める「長期優良住宅化リフォーム」は、今回の認定にあたり、準備段階として2年ほど前から補助事業を行ってきたが、理解が進んでいるとは言い難い。

 リフォーム会社からは「そういった制度があるとは知らなかった」(茨城県水戸市)や「大型リフォームにも積極的に取り組んでいるが、まだ制度を利用したことがない」(東京都練馬区)などの声も少なくない。さらに「申請書類の作成を行ったのですが、用意する資料が多く、また、提出後から採択されるまで時間がかかり過ぎるので、最終的に断念した」(千葉県柏市)との不満も寄せられた。まだまだ補助制度自体を知らない、利用していない事業者も多い。

 いかにリフォーム会社に認知度を高めるか。これが今後の課題となりそうだ。

高性能改修に需要あり
~アルティザン建築工房 新谷孝秀社長~

 長期優良リフォームを積極的に行っている企業もある。北海道で全面改修を中心に提供する、アルティザン建築工房(札幌市)だ。同社は、これまで37件、長期優良化リフォームの補助事業の採択を受けてきた。うち、性能を新築並みに引き上げるS基準は23件もある。

 同社のフルリフォームの平均客単価は1500万円だ。うちS基準を満たす部分の工事費用が平均で867万円。耐震や断熱などの性能向上を求める顧客は多く、同社の場合、補助を受けない場合でも700万円ほどが性能向上にかけている。そのため、「S基準にまで性能を引き上げた方が、上限200万円の補助も受けられ、お得ですよ」とPRしている。

 長期優良住宅(増改築)認定について、新谷社長は次のように話す。「『認定』が始まるならばぜひ取り組みたい。当社は基準を満たす工事が多いですから。お客様にもメリットになる」

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