- トップ
- > 中古住宅・リノベーション
- > 美想空間、「カフェをプラスしたリノベ」が人気
自ら飲食店経営、集客にも提案にも+
カフェに続々とリフォーム見込み客が来店中―――。飲食店の口コミサイト「食べログ」で3.5以上の評価を獲得するカフェ「Fun Space Café」。実はこれ、リノベーション事業では3億2000万円を売り上げている美想空間(大阪府大阪市)が運営している。カフェ事業でも年間6600万円売り上げるという同社のユニークな経営術を取材した。
口コミサイト「食べログ」でも評判な「Fun Space Café」。人気カフェということもあり、ユーザーは気軽に来店し、リノベーションの雰囲気を体感することができる。
本物のカフェで「カフェ暮らし」体感
3月2日に新店をオープンした同社が運営するカフェは4店舗。合わせて毎月4500人もの客が訪れる。その中でも、集客と売り上げに両方で中心的な役割を果たしているのは、大阪市にある新町店だ。
同店は、広さ150平米、全40席。看板メニューのチーズスフレは、同社の鯛島康雄社長が都内の人気店を食べ歩いて研究し、開発した一品だ。意外にも男性客からの支持も厚いという。
実はこの店舗、同社が提案する「+Cafe」という空間を体現したショールームにもなっている。「+Cafe」とは、普段の生活の中でカフェを感じることができる空間。
同社の空間デザインに魅了されたユーザーは、本物のカフェで、その雰囲気を実際に味わうことができる。リノベーションの際は、店舗で実際に使われている建材やインテリア、設備をそのまま取り入れることも可能。
「我々は『カフェっぽい住まい』ではなく、『カフェをプラスした住まい』を提供しています。特に、デシャップ台(出来上がった料理を配膳するために仮置きする台)のデザインや使い勝手には、実際にカフェを運営しているからこそ分かるノウハウがあります」(鯛島社長)
「+CAFÉ」の主役となるキッチン。人気カフェを運営する中で培ったノウハウを活用することで、「カフェ風」ではなく、リアルなカフェ空間を取り入れたライフスタイルを実現した。デシャップ台やカウンターには特にこだわっている。実際にカフェで使っている部材を使用することもある。
下見ユーザーとカフェユーザー
来店客は大きく2つに分けられる。1つは、雑誌やホームページ、SNSから同社のリノベーションに興味を持ち、下見のために来店するユーザー。アポイントも必要なく、リノベーションの見込み客だと知られずにデザインや会社の雰囲気を感じることができるので、心理的なハードルが低く、来店とその後の相談につながりやすい。
もう1つは純粋にカフェとして利用しているユーザー。こちらは、同社がリノベーション会社であると知らない人も多く、そのままではほとんど受注にはつながらない。
そこで考えたのは、ワークショップやイベントを通じて、リノベーションの需要を喚起すること。ワークショップでは、ペイントやハンドメードツリー製作など、住まいにかかわるちょっとした体験を行うことができる。これに加えて、現場見学会や相談会も実施。
「カフェとして利用されている方に直接アピールしても効果はありません。ワークショップなどでワンクッション挟むことで、お客様にストレスなく自然とリノベーションに興味を持ってもらえるようにしています。コンテンツは色々と試しているところで、街コンなんかにもチャレンジしています。結婚をきっかけに新居の相談が来たりしないかなと」(鯛島社長)
チラシやウェブ広告による反響営業だけではなく、将来の見込み客の囲い込み競争が激化してきたリフォーム業界。今後もユニークな集客方法に挑戦する会社が続々と現れそうだ。
内装や建具も「+カフェ」のテイストで仕上げられており、住まい全体でカフェ不雰囲気を感じながら生活することができる。

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1660号(2025/08/11発行)1面
-
WEB限定記事(2025/08/08更新)
-
1659号(2025/08/04発行)10面
-
1659号(2025/08/04発行)4面
-
1659号(2025/08/04発行)3面