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検査済証も図面もないビル活用法
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(東京都千代田区)は、毎年開催している「住まいのリフォームコンクール」の受賞作品を発表した。今年の国土交通大臣賞に選ばれたのは、ある築古オフィスビルを賃貸物件にコンバージョンした、一級建築士事務所イン・ハウス建築計画(東京都豊島区)。法的な問題も、建物構造の欠点も、建築士ならではのアイデアで解決した事例を紹介する。
1階にある居室。高さ180センチしかない2階部分は、ロフトのように活用した
売却不可能、解体でも二千万円
「持て余しているビルがあるんだけど、どうしたらいいかな」
2015年11月、同社代表で一級建築士の中西ヒロツグ氏はこんな相談を受けた。相手は以前住宅の設計を手掛けたことのある顧客。同社は主に住宅のスケルトンリノベーション設計を手掛けているが、中西氏が前職で非住宅の設計をしていた経験から、ひとまず相談に乗ることにした。
このオーナーが所有していたのが、東京都台東区入谷の5階建てビル。40年前に自社ビルとして建てたのち、オフィスとして賃貸。4、5年前からは空室となっていた。しかし問題は空室や古さではなく、検査済証がないということだった。
建築基準法では、工事完了後に確認検査機関による完了検査を受け、検査済証を交付される必要がある。検査済証がなければ、増改築や用途変更工事を実施することはできない。
「ビルの活用を模索し、以前から施工会社に相談していたものの、断られてしまった、とのことでした。とは言え解体すると2000万円近くかかってしまう」(中西氏)
まずは区役所に改修工事の申請に行ったが、予想通りの門前払い。残された手段は、既存不適格建築物の認定を取得することだけだった。
設計図面なども紛失していたため、メジャー片手に室内の測量をしたり、検査会社を使ったりして耐震や強度調査を実施した。この作業に2カ月以上時間を要したが、無事、既存不適格建築物の認定を取得することに成功した。
土間を広くとり、仕事道具を置けるように設計
6730万円で全戸満室
調査と同時に、企画と設計も同時に進めた。台東区が伝統工芸などのものづくりを支援していることもあって、住みながら仕事ができる全5戸の賃貸物件を企画。工芸作家やアーティストをターゲットとした。
この記事の関連キーワード : イン・ハウス建築計画 オフィスビル コンクール リノベーション リフォーム・紛争処理支援センター 東京都豊島区 空室 耐震 顧客

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