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若年層の"継承リフォーム"需要増

若年層の"継承リフォーム"需要増

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三井不動産リフォーム(東京都新宿区)は10月15日、同社が毎年発表しているリフォーム動向分析「ライフスタイルレポート」の第8弾調査をまとめた。監修した「三井のリフォーム住生活研究所」の西田恭子所長は、団塊ジュニア層が親や親族の不動産を継承リフォームする事例が増えてきていると話す。

継承型の不動産取得パターン
継承型の不動産取得パターン

今回の調査テーマは「ファミリー不動産×リフォームで住宅取得~団塊ジュニアが住み継ぐ親の家~」。ファミリー不動産とは、親や親族が持つ不動産のこと。同社が年間に手掛ける1万5900件のリフォーム事例を分析したところ、新たな兆候として見えてきたのが、30~40代の団塊ジュニア世代が親や親族の不動産をリフォームして住む事例だという。

「単なる親と住む二世帯リフォームだけでなく、親から家を譲り受ける"住まい譲渡"や祖父母から孫世代に家を譲る"スキップ継承"、親族が所有している賃貸住宅をリフォームして住むといった、ファミリー不動産の活用が多様化してきています。背景にあるのは、団塊ジュニア層が新築・中古を含めて、新たに家を取得するのが難しくなってきており、より割安で、家族の絆も感じられる『住み継ぎ』にメリットを感じているようです」(西田所長)

同社が手掛けた「継承リフォーム事例」を分析すると、60代から30代への引き継ぎが7割で最多。築年数は20~39年が中心。リフォームに掛けた費用は1500万円以上が8割となる。「金額が大きいですが、新築や中古を買ってリフォームする費用に比べて継承リフォームは割安」(西田所長)

同社によれば、2070万円で継承リフォームした事例の同一地区を調査したところ、新築価格が6380万円、築8年の中古住宅の価格が4980万円だった。他の住宅取得方法に比べ、3分の1というコストで家を持てるケースもあると分析している。

また、2008年をピークに30~40代の新築取得率が減少に転じたことに言及し、要因は、経済環境の悪化や失業率上昇、晩婚化といった社会変化などを挙げる。さらに、団塊ジュニアの49%が3大都市圏で生まれ、高い家賃、物価水準で暮らしており、経済的には厳しいとの分析も。

(社)住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォーム実例調査報告書(平成23年度版)」によると、40歳未満でリフォームした人の住宅取得方法は、33.3%が「親からの相続等」で、他の世代に比べて2~3倍の比率。さらに、リフォームの契約金額は、1000万円超が45.6%で、他の世代に比べて2倍以上。

「ストックが増加する中で、ファミリー不動産にリフォームを織り交ぜる住宅取得が若い世代の選択肢の一つになってきています」(西田所長)

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