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住宅の省エネリフォームは、太陽光発電、次いで蓄電池やHEMSと大掛かりでアクティブな設備が主役だったが、パッシブな設備まわりにも注目が集まっている。大掛かりなリフォームをゴールに見据えた時、初めの一歩にいい手軽な省エネ・パッシブのプチリフォームを紹介する。
アクティブの提案は今年がピーク
「スマートハウス」といえば、最初は「オートメーション化」された家のことだった。自動で開閉する扉や窓、気温に応じて作動するエアコン。外出中、スマホや携帯電話を使って家電を操作する......。
そこからスタートしたせいか、日本の「スマートハウス」も、省エネのためとはいえ、設備のパッチワークで進められてきた側面が強いことは否めない。
例えば太陽光発電とHEMS(Home Energy Management System)。エネルギーの消費量を抑えるために「再生可能エネルギーをつくる設備」を作り、省エネ化のために"見える化"の必要性が説かれ、HEMSが設置される。自動車は電気自動車が推奨され、発電した電気を使うとともに売電する一方、溜めるためにリチウム電池も必要となる。
太陽光発電モジュールは、2012年に累計100万台を突破した(表1)。また、最近では、コジェネになるが東京ガスのエネファームが累計2万台を突破した。
こうした設備は「アクティブ」と呼ばれる。アクティブ設備を重視する傾向は、日本の基幹産業を支える多くの企業が「設備系」だからでもある。エコポイントや補助金制度などの誘導政策の動きも同様だ。
しかし、太陽光発電では、来年度以降、補助金の廃止や売電価格の減額の可能性が高い。そのため今年度が売り時のピークとも考えられる。「省エネ市場」はまた新たなマーケットを開拓する必要が出てきている。
"パッシブ"の重要性の再確認
今年6月に東京で開催された「スマートハウス スマートシティ フォーラム」(主催:株式会社日本建築住宅センター、建築研究開発コンソーシアム)では、今後もスマートシティ、スマートハウスの普及拡大、促進のためにアクティブ技術の開発と普及促進が必要だ、との認識が改めて確認された。
一方で、後半のパネルディスカッションでは、大手電機メーカー、土木建築会社の担当者が「パッシブ技術の投下が喫緊の課題」と主張。既存のスマートハウスでもパッシブ技術は活用されてきたとはいえ、アクティブを担ってきた大手企業の担当者が、公の場でパッシブの重要性を主張するのは極めて珍しいことだった。
また、今年に入ってから、都市部ではエコまち法(都市の低炭素化の促進に関する法律)に基づく取り組みが盛んになりつつあり、緑化を含むパッシブ技術の導入を促すものが目に付くようになった。
省エネ基準の実体が実は断熱化であるように、省エネ性能の向上は、パッシブ技術が要だ。
大手電機メーカーで、スマート技術開発に当たっている担当者は、実証実験などを踏まえ「HEMSや太陽光に比べて、日本人はパッシブ技術を受け入れやすいようだ」と話す。日本人の感性になじんだ考え方なのだろう。
また、アクティブ技術の普及活動の中ではあまり語られないが、アクティブな設備は、それなりのメンテナンスが必要だ。よく「○年で初期投資が回収できます」という営業トークがあるが、メンテナンスコストをしっかりと試算した計画を考えなければいけない。
その点、パッシブ技術なら、設置さえすれば、特別なメンテナンスは必要ない。
スマートリフォームの行方
では、これから住宅でどんなパッシブなリフォームが可能なのか。
健康や快適さの向上には、壁、開口部の断熱化が一番だが規模が大きく、費用もかかる分、提案もしにくくなる。そこで、暑い季節にぴったりのもっと手軽なプチリフォームを、初めの一歩として提案してみたい。

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