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有識者に聞く、日本の中古住宅市場は?

有識者に聞く、日本の中古住宅市場は?

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業界の有識者が語る≪テーマ : 「リノべる。」を始めた理由≫
~ 健全な中古住宅市場が日本を豊かに ~

リノべる 山下智弘社長◆今週のゲストコラムニスト◆
リノべる 山下智弘社長
≪Profile≫1974年生まれ。2010年に中古マンションリノベーションのリノべる株式会社を設立、代表取締役に就任。全国13カ所にショールームを持つ

「面白い家」が少なすぎる日本

 欧米の家は個性的で面白い家が多く存在しています。中古住宅でも、手を加えた分だけ資産価値として評価される欧米では、きちんとメンテナンスし、魅力ある家として維持していくカルチャーがあり、これが個性的で味わい深い家を育んでいるわけです。

 日本では住み手が代わると、たちまち「中古」の烙印が押され、住宅としての価値は大きく落ちてしまいます。500万円、1,000万円かけてリフォームしても、価値はほとんどプラスされません。

 これでは家に手を掛ける人が増えないのは当然です。もしも、欧米のように中古でも適切に評価される土壌ができれば、中古住宅を生かしてもっともっと面白い家、素敵な家が日本でも増えていくと考えたのが「リノベる。」を始めたきっかけでした。

リノべる。

市場が進化しない3つの理由

 まず、金融機関。中古住宅の場合、ローンがつきにくく、購入者はそれなりの自己資金が必要でした。次に不動産業界。築古物件は売りにくい上に手数料が低く、不動産業者が敬遠するのです。そしてユーザーの意識。中古住宅に対するネガティブなイメージが根強く、いわば"食わず嫌い"状態だったのです。

 そこで、これらの問題をひとつずつ解決することにしました。まず、リフォーム費用を含んだ専用ローンを開発し、自己資金なしで中古住宅を購入してリノベーションできるようにしたのです。次に、ショールームやリノベる。サイトを整備し、不動産会社の受注機会が増える環境を整えました。

 さらに、ショールームにコーディネーターを配置して、お客様の不安を解消できる仕組みを構築していったのです。この結果「中古マンションをリノベーションして住まう」という文化が少しずつ根付いていきました。

背伸びせず家を買い育てていく

 メンテナンスやリノベーションが資産価値として適切に評価されれば、家の手入れを積極的に楽しむ文化が根付くはずです。ライフステージに合わせて暮らしを楽しむ人も増えるでしょう。評価額がローン残債を下回るようなローン地獄は過去のものとなり、家計にゆとりが生まれる結果、新たな投資、消費が促され、経済も活性化するはずです。

 住み替え頻度も欧米並みに3回、4回となれば不動産業界にとってもビジネスチャンスは広がります。まだまだ道半ばですが、より良い住社会づくりに貢献できれば、と考えています。

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