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有識者に聞く、「シェアハウス」で人をつなぐ新たな住まい方

有識者に聞く、「シェアハウス」で人をつなぐ新たな住まい方

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業界の有識者が語る≪テーマ : 新たな住まい方の提案≫
~ シェアハウスで創る差別・偏見のない世界に ~

ボーダレス・ジャパン 鈴木雅剛代表取締役副会長◆今週のゲストコラムニスト◆
ボーダレス・ジャパン 鈴木雅剛 代表取締役副会長
≪Profile≫1979年、広島県生まれ。2007年に、同社現会長田口一成氏と共に株式会社ボーダレス・ジャパンを創業。「社会問題を解決するソーシャルビジネスしかやらない会社」として、貧困、環境、差別・偏見等の問題を解決する8事業を、5カ国6拠点で展開中。

新たな住まい方「シェアハウス」

 「シェアハウス」。どのようなイメージをお持ちだろうか。本質的にシェアハウスとは全く異なる、いわゆる「脱法ハウス」がシェアハウス問題としてメディアで取り上げられたことで、良いイメージをお持ちでない方が多いかもしれない。2013年に生じたこの問題も、入居者の安全性や居住性を考慮しない儲け一辺倒の脱法ハウス運営者の排除や、国土交通省や東京都による法的規制緩和でようやく収束してきている。

 どのような事業においても、既成概念を超えた新たな取り組みは、常に、既存の法律や枠組みに当てはまらないもの。まさに新たな住まい方であるシェアハウスは、世の中がようやくその考え方、価値を理解してきた感がある。

 当社は、シェアハウスがほとんど存在していなかった2008年から、日本人と外国人が共に暮らす多国籍コミュニティーシェアハウス「ボーダレスハウス」を運営してきた。現在、東京、ソウル、台北に約90棟900人の入居者を擁し、今年は、国内では大阪、更に海外の4カ国目、5カ国目へ矢継ぎ早に進出していく。

 この事業の目的は「差別・偏見のない世界を創る」こと。なぜ私どもがこの目的を成すために「シェアハウス」を選んだか。シェアハウスの持つ真の価値にその理由を見いだすことができる。

共生=相互理解

 シェアハウスの本質的価値。それは、入居者同士、地域住民の方々との相互理解にある。考えや価値観の異なる人間同士が一つ屋根の下で共生するためには、必然的にコミュニケーションが発生する。それは、日常会話やパーティーなど「楽しい」コミュニケーションに限らない。キッチンやリビング、水まわりの使い方、掃除のルールなど、互いの習慣や考え方がぶつかり合う「面倒な」コミュニケーションもある。

 これらのコミュニケーションを通じて入居者は真に互いを理解し合い、思いやることで共同生活を成り立たせる。また、コミュニケーションは、シェアハウス内だけにとどまらない。日々の挨拶や回覧板、ゴミ出しに始まる近隣の方々とのコミュニケーションは自然と発展し、入居者は地域のお祭りやボランティアなどにも参加するようになる。

 そこで地域住民の方々との交流は、更に深まっていく。ハウス内外におけるこれらのコミュニケーションが、人間同士の相互理解を促し、そこに差別や偏見が存在しなくなるのは、想像に難くない。

 このようにシェアハウスには、人と人をつなぎ合わせ、互いを理解させる力がある。「コミュニティーの崩壊」が言われて久しい現代社会において、シェアハウスの役割はますます大きくなっていく。

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