老舗塗装会社、成長の鍵は女性
「異なる人材を集めることで、企業はより強くなる」。そう話すのは、大阪府で塗装工事を行うKMユナイテッド。1950年創業の老舗塗装会社、竹延の子会社として2013年に設立された同社は、女性や外国人といった建築業界では珍しい人材を職人として採用する会社として、業界内外で注目を集める。竹延幸雄社長に、話を聞いた。
同社事務所近くに設けた塗装技術の研修施設。若手、中堅職人たちが、70歳を超えるベテラン職人に技を学ぶ光景が見られる。
リスク恐れず一歩踏み込む
大阪市都島区。KMユナイテッドの事務所裏にあるプレハブ小屋は、今日も職人たちの熱気にあふれている。70歳のベテラン職人が教えるのは、きれいで素早い養生の方法。これを真剣な表情で聞くのは、30代の女性職人。その傍らでは、40代の中堅男性社員が、新たな特殊塗装のやり方を、熱心に練習している。
ここは今年から開設された、同社の塗装研修施設。当初は新人職人の研修目的で作られたが、いつの間にか中堅もベテラン職人に技を学ぶため、自主的に集う場所になった。
この光景が示す通り、同社は女性の社員職員を採用・育成している。現在、35人の社員のうち、多くが女性。ほかに外国人の採用にも力を入れており、経産省からダイバシティー経営(多様な人材活用)を行う会社として、表彰を受けたこともある。
「当社のことをダイバシティー経営に成功した企業だと評価していただくことが多いですが、最初はまったくそんなこと考えていなかった。努力できる人、頑張っている人を採用しようとした結果、それが女性や外国人だった」(竹延社長)
親会社の竹延は、老舗塗装会社として、府内を中心に30億円売り上げる有力企業。その一方で、職人の高齢化、それに伴う技術力の低下が大きな経営課題となっていた。KMユナイテッドは、親会社とは違って女性や外国人の採用に踏み切った。
女性でも働きやすいよう、社内に託児所を設けたり、時短制度を導入するなど、当初から労働環境整備に取り組んできた。社員の意見を取り入れて柔軟に制度を変えるという姿勢から、年一回のペースで社内規則を更新している。
これまでほぼ男性しかいなかった会社に異なる人材を入れる。このような大胆な改革には、社内の反発や混乱が伴うと敬遠する経営者も多そうだ。しかし竹延社長は「社内規則も環境も、やってみれば案外なんとかなるもの。変に賢ぶるのではなく、リスクを恐れず馬鹿になって踏み込んでみるのが重要では」と笑う。
仕組みを変える意見
これまでとは異なる人材を採用する効果は、人員増加だけではないと、竹延社長は話す。それを示す1つの例が、「水性塗料の導入」だ。
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