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有識者に聞く、人材不足に悩む"建設現場の未来"

有識者に聞く、人材不足に悩む"建設現場の未来"

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業界の有識者が語る≪テーマ : 建設現場の未来≫
~ 数の競争時代に警鐘をならせ ~

塗魂ペインターズ ◆今週のゲストコラムニスト◆
塗魂ペインターズ 事務局長
雨漏り119 事務局長
日本塗装名人会 事務局長 池田大平氏
≪Profile≫
愛知県春日井市で塗装業(株式会社麻布)を営むアナログ男。東日本大震災を機会に会社の在り方を大きく方向転換。町のペンキ屋に何ができるか...。人間として、日本人として、この大惨事を何よりも第一優先に判断している。

深刻な人材不足

 深刻なる人手不足。今さら私ごときが申すまでもありませんが、政府頼りでは解決は困難と考えます。民間レベルで打開していくしかないでしょう。

 建物を造る確認申請許可がおりても、工事着工は、なかなかできない、始まらない...。

 入札物件に、手さえ挙げれば仕事は取れるのに、手を挙げられない...。

 ほとんどの工事中の現場が、工期を守れずにパニック状態となっている...。

 これらの現象が、ますます増加していく時代と予想します。品質低下によりわずかな地震や衝撃で、倒壊する建物や橋梁もあるかも...。これら全て、深刻な人手不足の問題が原因で起こります。

 作り手が少ないわけですから、建築職人の労働賃金も高くなり、建築費も高騰することでしょう。もの作りの根本は人であり、その肝心要の人が減る以上は、いたしかたありません。

 スポーツの記録のように、年々、建設業界の品質も向上して当たり前...。

 ところが逆に品質低下へと転がり落ちているのが現実となるでしょう。品質が下がることは、悪評が重なり、やがて数年間で淘汰される会社となる。

 仕事を頂戴する窓口や手段、集客力、プレゼン力をいくら得ても、それを施工して、商品化しない限り、金品には変わらないです。継続経営のホンモノの地域密着業者とはなれません。クレーム産業と言われる建築業界。人手不足が招くさらなる品質低下は、クレームの増大、もめごと、建築紛争の、ますますの増大につながるでしょう。

ピンチはチャンス

 ただ、ピンチはチャンスという精神論はあります。ならば、いち早くココに打開策を打たないとパニックになるし、ココにメスを入れたビルダーだけが職人を保持でき、生き残っていくのでしょう。

 政治レベルでの大胆な改革改善と、大胆な規制緩和が不可欠になります。屋根と壁の塗装サービスも、買えない日本人が増加するものと思います。

 年齢と共に衰える高齢の職人が、たとえ現場には出られなくなっても教壇には立てます。職人養成学校の成長を願うばかりです。私が所属する日本塗装名人会は、その名の通り、塗装職人の名人を養成し、広く世に排出することを第一の目標としています。生き残る手段の第一はそこにあり、そこを第一にしなければなりません。

 仕事を頂くためのスキルアップや戦術は二の次、三の次だと考えております。人手不足...解決のない永遠の死活問題として続く難題です。

 国と民間の密接な協力体制で人手不足を国難ととらえ、本気で解決していきたいものです。

 人間の幸福人生の三大項目、衣食住は、人手不足で悩まないことを願うばかりです。

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