【ミヤケン×和久環組 対談】 ワクワクする暮らしを当たり前に
色紙に来年の抱負を書いてもらった。宮嶋社長は「融合力」。自身、スタッフだけでなく、仲間である他社とも組み合わさって力を生み出していきたいと意欲を燃やす。一方、鎌田社長は「変」。「絶え間なく変化していく社会や消費者のニーズに企業も変化して対応していきたい」、と抱負を語った。
塗装業界とリノベ業界の若きリーダーが語り合った―――。ミヤケン(群馬県前橋市)宮嶋祐介社長と和久環組(神奈川県横浜市)鎌田友和社長が対談。2人が変えたいものとは。
下請けから転換
宮嶋 鎌田さんは今、和久環組とリノベ不動産を立ち上げていますが、具体的にはどういったことをされているのですか。
鎌田 和久環組は、主には中古住宅を買っていただき、そこにリノベーションを一緒にしませんかっていうことを、不動産の紹介からファイナンスの組み方、設計、デザイン、施工までを全部ワンストップで提供するということを行っています。
私は大学を卒業して、横浜で不動産業に就職したんですね。そこで5000件ほど取引しまして。それで退職して、和久環組を作って、今で4年目になります。
宮嶋 4年で企業規模が大きくなりましたよね。
鎌田 前期が23億円ですね。また、リノベ不動産というのは、やっていることは一緒なんですけどネットワークの会社で、和久環組と会社を分けているんです。設立は2014年の8月で、今は65社。和久環組でやったことをそのまま失敗することも成功することも全部加盟店に提供しています。
宮嶋 私は高校卒業してアルバイトでこの塗装業に入りました。元々幼い時から経営者になりたいという思いが強くて、経営者になるなら業種はなんでもよかったんです。それで、たまたま塗装業に入って。で、アルバイトする中でいろんな会社さんを経て22歳の時に独立したんです。
ただ元々、個人事業で、現場で作業する一人親方から始めて職人さん増やしながら管理したり営業したりという形で、今だんだん増えて行っているという形ですね。
鎌田 一人親方ですと基本的には下請け。
宮嶋 そうです、もう完全100%下請けです。そこから元請けに転換したのは、ちょうど2007~2008年ぐらい。個人の住宅を塗装したのがきっかけです。
それまではゼネコン関係で、本当に大手の下請けの下請けの下請けの下請け、だから4次下請けぐらいじゃないですかね。寝ても暮れても大赤字っていう時代でしたね。
まだそういう時に地域の方に、「塗装屋なんだからウチ塗ってくれない」って言われたのがきっかけで。それでそのお宅を施工した時に、直に感謝の声を聞いたりとか、やってる職人さんなんかもお客様に「本当に良かったよ、本当に良かったよ」って言われて本当に楽しそうにやっていたんですね、仕事を。
その時にはっと思ったのは、もっと社員の喜べるような、ダイレクトに受けるような仕事がしたいなということで元請け事業を始めたっていう次第ですね。
鎌田 それで今は塗装のボランティア団体の代表もしてるんですよね。
宮嶋 塗魂ペインターズです。今現在は全国に146社が加盟店さんでいるんですけど。本当にボランティア団体という通り生粋の社会貢献という旗を掲げてやっている団体です。基本的には、全国で困っている施設とか困っている方々が声を掛けてくれて、全国の塗装会社と一緒に協力して塗り替えるという事業をやっています。
鎌田 でも、やっぱり元のビジネスが立たない状態でボランティアといっても長続きしないですよね。
宮嶋 できない。だから、各社が皆行ったり来たりもしていますし、逆に全然関係なく皆集めて勉強会したりもしますし。仲間って感じで助け合っていますよね。
2014年設立。和久環組のビジネスモデルである、不動産仲介とリノベーションのワンストップサービスを展開する全国FC。2016年12月時点で加盟企業は65社に到達している。アウトドアブランドのスノーピークと提携するなど、「ワクワクする暮らし」の新しい提案が生まれている。
第二の武器を求める
宮嶋 リノベ不動産は今どのような方が入られてるんですか。
鎌田 入っている方は、今6割ぐらいが不動産仲介会社ですね。残り4割が地場の工務店、ビルダーです。
宮嶋 仲介会社の方は、中古住宅を売りたいんだけれどもどうやって売ったらいいか分からないので、ノウハウが欲しい。
鎌田 中古住宅を扱うこと自体が事業として成り立たないんです、仲介手数料という意味では。そこでリノベーションが受注できるような体制になれば、補えるよねっていう所なのです。
中古住宅を単純に扱ったら商売が成り立たない時でもリノベーションをくっ付けて。そこには必ずコンサルティングが絶対入るので、すごく付加価値が出てくる、ということを求めている。
宮嶋 逆に工務店は何を求めて入るんですか。
鎌田 新築は新築でやっているんだけれども、プラス隣でリノベ―ションというものを武器として持っておきたい、という所がまず一つ。あとは下請けが元請けになって行きたいといった時に、不動産を活用する事で、直で元請けで工事を受注できるということ。大体その2つですね。
武器と言えば、宮嶋さんもメーンは塗装ですけどリフォームもOBさん向けにされていますよね。
宮嶋 していますね。でも基本的に窓口が外壁塗装で。オープンで総合リフォームをやっているわけではないんです。
大体、塗装屋さんってちょっと塗装が売れるようになると総合化を図りたいっていう、体制で皆失敗しているので。もし、総合化を図るなら基本的には別会社に。塗装で地域一番店になってから、リフォーム店をそのネーミングを活用してやっていくっていう形を取っていかないとうまくいかないと思うんです。
鎌田 塗装を専門的に深めてやっていく、深掘りしていくっていった所で言うと、僕達も、消費者のワクワクを深掘りしていくっていう所は共通しているのかな、ってすごく感じています。その塗装を追求していった先には他の展開があるなっていうのは、僕もそこはすごく感じていて、ワクワクを追求するために行動していく中で中古リノベーションっていう所に特化しながらやっていった先にその周辺ビジネスが見えてくるのかな、と。
2010年設立。全国の塗装事業者が集まるボランティア団体。2016年12月時点で146社が加盟。地域になくてはならない建物でありながら修繕ができずにいる公共施設などの外壁や内装を、ボランティアで塗装。昨年10月の活動で76もの実績がある。
業界の枠関係ない
宮嶋 私は塗装事業者の働き方を変えたい、といつも考えています。
今、塗装業界でも働きたい、っていう人たちがいないんですよね。おそらく塗装業界の未来が無かったりとか、標っていう目に見える目標、形が無いっていうのが一番だと思う。若い人に選ばれる業界でもなければ、その立ち位置にも立てない状態で。まず環境を一番変えたいなっていうふうに思っています。
鎌田 労働環境ですかね。
宮嶋 当社では、週休2日制の仕組みを、今年の8月1日から導入することが決まっています。ほかでは、社会保険を制度にする、休みを隔週休二日にする、それから賞与を出すと。
業界的には、賞与も年に2回っていうのもまず職人には無いんですよ。いまだに全然。さらに言ったら社会保険も無いのがほとんどなんです。
でも、全国の事業者と会って一番感じるのが俺たちの業界を守るという意識が強くて、なかなか変わろうとしない。外の業界に出ないんですよね。やっぱり業界守る以上は外を知らないと、ってよく思います。もうちょっと視野の大きさというか、そういうのをもう少し広げなきゃならないなというのがあります。
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