TOTO 喜多村円 社長
1957年福岡県生まれ。81年長崎大学経済学部卒。同年TOTOに入社。経営企画部長を経て2008年から執行役員浴室事業部長に就任、事業立て直しに手腕を発揮。11年、取締役常務執行役員。13年取締役専務執行役員。14年から現職。
中期経営計画「WILL2022」で売上高7200億円
TOTO(福岡県北九州市)が中期経営計画「TOTO WILL2022」を2018年度からスタートさせる。17年度の売上高6000億円、営業利益540億円を、2022年度には売上高7200億円、営業利益800億円に伸ばす計画だ。近年、株価水準が大幅に上昇するなど、世界の投資家の評価も高い同社の喜多村円社長に話を聞いた。(聞き手・本紙社長 加覧光次郎)
中長期的な安定成長を投資家が評価
――TOTOの株価が上昇し、6000円台を維持しています(2017年12月現在)。5年くらい前、先々代社長の木瀬さん(木瀬照雄氏)にお会いしたとき、「今日、TOTOの株価がトートー(1010円)になった」と嬉しそうに話していました。その後、2株を1株に統合したので、2倍にして当時なら2020円。それと比べても3倍と大きく伸びました。その要因の1つに、環境や社会貢献、ガバナンスを評価する「ESG投資」があるといわれています。
私どもには私どもの見方があるのであまりコメントできませんが、通常言われているESG投資では、社会貢献と業績がリンクしているかを見ていると思います。社会貢献をやっているという理由だけで、その企業の株を買う人はいませんから。投資家と話していると、社会貢献と業績の関連性を厳しく問われます。
――環境保全という企業理念を地道に実践した結果、投資家から注目されるようになったと。
例えば中国では節水教育を何十年もやっていますが、学校教育から関わることで節水を意識する層が育ち、節水商品を買ってくれるし、社会貢献もできる。それらを含めて社会に役立つ企業でありたいとずっとやってきています。ただ、ある総研の人から聞いたのは、社会貢献している企業は中長期的に安定成長しているというバックデータがあるそうです。だからそういったファンドに組み込まれるのだろうと考えています。あとは、TOTOの社員も社会に貢献する企業でありたいと思ってくれている。それが自分たちの会社の誇りにもなっていると思います。
――社長に就任して3年半が経ちました。海外IR活動にも積極的に取り組んでいるそうですね。海外投資家比率は、昔は1割程度だったと思いますが、今、どのくらいに増えましたか。
海外投資家の比率は25%です。いわゆる機関投資家の多くは年金等を預かって運用しているので、株を売買して利益を出さなければなりません。だから真剣です。彼らはTOTOの長期成長を信じてくれていて、安定的に数百万株を保有しています。
――御社の経営スタンスが長期視線ですから。
当社の株を持っている投資家と話をすると、ほとんど皆さんウォシュレットを使っていますよ。自宅のトイレに付けている。「こんな良い物が売れない訳がない」と言います。私は海外IRの最後に必ず聞くのです、「皆さん、TOTOにそんなに関心があるなら、ウォシュレットを使っていますよね」と。すると「イエス!」と言ってくれますよ(笑)。
「リモデルあんしん宣言」展開」
――中期経営計画では、2022年度の売上高7200億円、そのうち日本住設事業が4500億円、海外住設事業が2200億円となっています。海外売上高は日本の半分の額であるものの、伸長率は6割と高い。やはり海外での成長を重視していくのですか。
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