・多能工育成施設「達工房」が、職業訓練校として認定された
・運営は大規模修繕を手掛ける太陽で、認定に向けて2億5000万を投資
・2年間、職人に技術を教えながら給料を払えるビジネスモデルを構築
太陽 阿部佳介 専務取締役
大規模修繕の生産性を4割改善
マンションなどの大規模修繕を手掛ける太陽(埼玉県さいたま市)が、昨年5月に開校した多能工育成施設「達工房(とおるこうぼう)」が埼玉県より職業訓練校として認定された。同社によると、民間運営の多能工育成施設としては日本初の認定だという。同社は、多能工学校の開校に投資をしても成り立つビジネスモデルを構築。そして職人の生産性を向上し、給料を上げられる仕組みを作り上げた。阿部佳介専務取締役に設立の経緯や職人不足解決に向けたスキームを聞いた。
――多能工は今後の職人不足を解決する1つの道です。大規模修繕向けの多能工はあまり聞いたことがありませんでした。しかも職業訓練校の認定を取るのは難しいと聞いています。
勇気がいりましたね。職業訓練校になれる保証はないですし、各事業一団体と決まっていて、一民間企業がとることは実例がなかったので。カリキュラムをつくるのに2年かかりました。建物とカリキュラムづくりで2億5000万円を投資しています。
――大胆な投資をしましたね。全国の職人育成学校は、事業収支面で苦労し、継続が難しいところが多い。達工房は生徒を全員雇用してから入学させるビジネスモデルとのことですが、卒業した職人が稼げるかがポイントですよね。
職人さんが減ってきた一番の理由は給料なんですよね。協力会社300社の統計から職人は年間180日しか働けていないことが分かりました。要因は、天候や休日、そして一番大きいのは現場と現場の空き時間です。
この空きをなくすだけで180日を250日にできます。そのために多能工にしてビジネスチャンスを増やす必要があります。給料が1日2万円くらいだとして、180日だと年収は300~360万円くらい。職長でも450万円。うちで働いたら、3年で年収は500万円になります。
――なるほど、ただ、彼らは給料を払いながら教える2年間は、収益を生まない。それでもビジネスが成り立つ算段があると。

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