クラフトバンク 韓英志 代表
建設工事の受発注プラットフォームを運営するクラフトバンク(東京都新宿区)は4月15日にユニオンテックと分社化。プラットフォーム事業に特化した新会社「クラフトバンク株式会社」(東京都中央区)を発足した。新たな体制で工事会社の手配サービスなども進める韓英志代表に、分社の経緯や新会社の展望について聞いた。
【聞き手/報道部長 福田善紀】
黒子として工事手配などを支援
――分社の経緯をお聞かせください。
プラットフォーム事業の中立性を保つためです。3年前から、もともとユニオンテックとして行っていた店舗向けの内装事業と、工事受発注のマッチングプラットフォームを並行して走らせてきました。もちろん、それぞれの事業はまったく別領域として切り離して運営していましたが、プラットフォーム事業では、適正なマッチングを叶えるためにあらゆる工事会社のデータを収集する必要があった。そこに元請け部門が同時にあると、どうしても中立性をアピールするのが難しいじゃないですか。そこで思い切ってMBOという形で分社化し、約3億5000万円の資金調達を実施。プラットフォーム事業に特化した新会社として再スタートさせました。
――中立性がより問われる規模になってきたということですね。新会社が目指す方向性は。
基本は変わっていなくて、職人が適正に評価されることを目指して、職人に寄り添ったサービスを展開していきます。そういう意味で、元請け会社と工事会社(職人)のマッチングはメインストーリーです。現在、マッチングサイトの登録者数は工事会社が約2万2000社、発注企業が約200社。工事案件にマッチした会社を高精度に手配できるよう、電話等での深堀りヒアリングも続けていきます。
――施工の手が慢性的に足りない状況のため、元請け側のニーズが高そうです。
最近は大手家電量販店やホームセンターも登録されています。そこで現在は、マッチング精度を高めるために、テスト的に大手の工事を請け負うことも始めています。具体的には、発注者がLINEで工事の要件を入れれば、僕たちが工事会社を手配する流れ。大手は施工の手が足りていないことで、現調から見積もり提示までに1~2週間かかっていて、それによる逸失利益がとても多いのです。僕たちが手配すれば0~5日で見積もり提出までを行えるようになるので、リフォームの受注率が格段に上がります。
――適合する会社は、御社がシステムを使って探されるのですか。
そうですね。発注会社ごとに、資格所有者が必要であったりなど、工事会社の適合条件がありますから、それにマッチした会社をまず選別します。そのうえでLINEをつかって案件を振っていくのですが、振る順番としては上位ランクからです。ランクの分け方としては、まず1回発注してみてチェックしています。
――大手は工事の量も多いと思いますが、どういった工事を請け負っているのでしょう。
エリアと工種を絞っています。「業者が足りない工種×手配の速さ」がこのサービスの威力を最大に発揮できるので、今はそういう攻め方ですね。とはいえ、この大手案件の請負いサービスは、あくまでプロダクトのラーニングのため。今後は、請負わない形での手配を考えています。
――具体的には。
発注会社の黒子的な立場で案件の告知をし、工事会社を手配するイメージです。それで受注が確定したら、工事金額の5%をいただく。セットアップの手間はかかりますが、それさえ終われば自動で回っていくシステムなので、今期中には黒字レベルで収益化できる予測です。まずはここをスケールさせる予定ですね。
――工事手配が外注できるのは面白いですね。リフォーム営業マンが営業に専念できそうです。今後の展望は。
テーマとしては、人にまつわる課題を解決することです。紹介であったり、手配といったところの軸は変わらないですが、将来的には採用支援の領域も視野に入れています。人にまつわることの効率化に貢献していきたいですね。
建設DX化のサポートなども実施

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