CONOC 山口 一 社長
売上はそのままでも利益は残せる
店舗設計、施工を中心に年間15億円を売り上げるCONOC(東京都渋谷区)が、10月1日にクラウド型業務管理システムをリリースした。「営業や受発注、各種数値管理をしっかりとできるようになれば、売り上げは横ばいでも利益を残せるようになる」と話す山口一社長に、同システムの概要や開発背景について聞いた。
【聞き手/報道部長 福田善紀】
月額10万円以下で必要機能を標準搭載
――システムの概要を教えてください。
営業から施工管理、バックオフィスまでの業務管理がシステム内で完結できる、クラウド型の工事原価管理ツールです。データは見込み案件から入れられ、受発注から完工までのさまざまなやりとりがシステム内で行えます。イメージとしては、職人さんよりも現場を管理する立場の人が、これまで見えにくかった要素を可視化して生産性向上と収益増加につなげていくもの。売り上げや粗利といった数値もダッシュボードでパッと見られるので、リアルな経営状況が一目で把握できます。
――クラウド型の原価管理システムは他社からも出ていますが、他と大きく違う点はどこでしょう。
大きく2つあります。1つは、わかりやすい価格設定。従来のクラウド型原価管理システムは、たとえば受発注書の作成・管理といった原価管理以外の部分はオプション扱いのものが多く、必要なツールをそろえていくとコストが想定以上に膨らみがちです。一方で当社のシステムは、原価管理から営業・施工管理まで、建築における一連の業務管理をすべて標準搭載して月額8万8000円(税抜)。アカウント数の制限もないので、これと初期導入費用以外のコストはかかりません。初期導入費用は80万円ですが、これも先着20社まで無料です。
――2つ目の違いは?
手入力を極力減らすことで、定着しやすい仕様にしています。たとえば、施工のパートナー会社から下見積もりが上がってきたら、そのファイルをシステム内に入れるだけで、必要利益が上乗せされた見積書が作成される、といった具合です。原価をいちいち手入力しなくていいので、手間もミスも軽減されるのがメリット。また、見込み案件をランク分けし、ランクごとに受注確率を設定しておけば、自動的に翌月の売上予測が表示される、といった機能も付いています。簡単に予実管理ができるようになりますよ。
――とはいえ、こうしたシステムを触ったことがない人も少なくありません。導入のサポート体制はいかがですか?
導入企業には、CSチームが1日をかけてスタートアップの勉強会を行います。そこで大枠の使い方は理解できますし、すべての入力画面で操作の仕方をまとめた動画も作成しているので、その動画の通りにやっていけばすぐに使えるようになります。もちろん、導入後の操作、活用サポートも用意しています。
直感的な操作で経営課題を可視化
粗利が6000万円アップ
――システム開発に着手された理由は?
長らく建築業を行ってきましたが、現場数が増えるにつれ、いろいろな管理がおざなりになっていったのです。その結果起きたのが、粗利率の低下。放置現場が発生したり、言った言わないといったトラブルが、生産性と粗利率を下げていたのです。そこで、他社の業務管理システムを導入したのですが、必要な機能を追加していくと、そのカスタム費用だけで数百万円というコストがかかった上、なかなか定着しない。おまけにクラウド型じゃなかったので、会社の外に出ると結局使えず、生産性向上には至りませんでした。とはいえ、数値管理への意識は改善したし、システムそのものの必要性も理解できた。そこで、低コストで最初から使えるシステムをつくれば、業界のお役に立てるのではと考えました。
――導入のモデルケースではどのような成果が見られましたか?
自社の話ですが、このシステムを導入したことで粗利が年間6000万円上がりました。当社は先のシステムから移行してこの成果ですから、もともとシステムを導入していなかった会社さんなら、粗利10%アップは目指せるのではないでしょうか。売り上げを伸ばすより、管理を徹底して粗利を上げるほうが実は簡単。売り上げが横ばいでも利益を残せるようになります。
――どれくらいの導入社数を目指されますか?
まずは初年度に120社の導入を目指します。このシステムがよりマッチするのは、専門工種の元請け企業や、社員数5人以上の工務店さん。「使いこなせるかな?」と感じている会社さんほど、一歩踏み出してみてほしいですね。

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