LIXIL、リフォームデジタルシフト加速 新時代の教育・提案・効率化を推進
コロナ禍による自粛で外出機会が減少した結果、住宅への関心が高まっている。加えてテレワークの定着で、リフォームのターゲットとされる50~60代が一気にデジタルシフトした。「ユーザーの情報収集能力が向上し、リフォーム会社はより質の高い商品と情報提供が求められる」と語るLIXIL(東京都江東区)リフォーム事業部の木村彰宏事業部長にデジタルリフォーム事業に必要なデジタル戦略について聞いた。
【聞き手/報道部長 福田善紀】
LIXIL
木村彰宏 リフォーム事業部事業部長
「L‐ポケット」で移動時間に知識拡大
――はじめにLIXILリフォームショップの加盟店数と、御社が進めるデジタル戦略の状況について教えてください。
現在、LIXILリフォームショップ加盟店数は550店で、LIXILリフォームネット登録店数は1万1400店です。リフォーム加盟店にはさまざまなデジタル戦略でサポートを進めていますが、その柱となるのが当社のアプリ「L‐ポケット」です。この度、営業担当者にヒアリングを行ってバージョンアップしました。
今ではリフォーム加盟店で幅広く「L‐ポケット」が利用されています。営業担当者には、ビジネスコンテンツにある建築・商品基礎動画や建築基礎・現調編、水まわり商品編、金属商品編、エクステリア編の動画が好評です。移動時間の合間などに動画を見て勉強しているようです。
――営業担当者が知識を身につけるのに役立っていそうです。無料で提供されていることもプラスに働いていると感じます。
「L-ポケット」を使うことで知識は底上げされたと思います。加盟店同士で情報共有するようになり、提案単価や契約率で成果が出てきた店舗もあります。
知識だけでなく、実用面でも役に立っています。その1つが「アプリ活用イメージ」です。営業担当者が出社してから退社するまでの1日の流れを8分の動画にまとめたもので、各場面でどんな機能が使えるかを紹介しています。また、「リフォーム診断」ではユーザーの悩みやこだわりを入力することで、価格帯の異なる3つのおすすめプランが表示されます。このような機能も営業担当者のヒアリングから生まれました。
機能が日々拡大しつつあるL-ポケット
最小限の接客を支援する空間提案ツール
――アプリによって知識と情報は豊富になりますが、多くの情報の中からどのようにユーザーに合った提案をするのですか。
顧客と何度も会って打ち合わせするのは生産性が悪いですし、ユーザー側もコロナ禍ではあまり来てほしくない。最小限の接客でわかりやすい提案をし、できることなら金額まで提示したい。そこで加盟店に対して、本格的な空間を提案するアプリ「リフォームアクセル」を無料にしました。新たに、空間を設定して商品や床の色を変更したり、プランの説明ができる機能も搭載しています。簡単に3つのプランを提示できる「L‐ポケット」の機能と併用することで、新人や経験が浅い社員でもベテランと同じ提案がその場でできます。
ショールームは1回だけ訪問が拡大
――ショールームはオンラインにシフトしていますが、利用割合はどうですか。
店内に大型モニターを用意し、ユーザーと営業担当者、ショールームの三者で商品を提示しながらオンラインで商談しています。これまではショールームに3回来店するユーザーが多かったのですが、今は1回目でリアルのショールームを見てもらい、2回目以降はオンラインというやり方に変わってきています。
――ユーザーからはどんな反響がありましたか。また、今後はどのような展開を予定していますか。
リアルとオンラインの両方のショールームを活用することでユーザーの満足度が上がり、受注単価も上がりました。
また、住宅への関心度が高まり、高付加価値の商品が求められています。価格ではなく、この商品のどこがいいのか、ユーザーにとって何がメリットなのかをさまざまなデジタルツールを活用して、きちんと説明することが重要になってきました。
4月には「L‐ポケット」に現調機能を追加予定です。リフォームの現場で抜け漏れのない正確な現調ができ、リフォーム店の業務効率化につながる機能を搭載します。関係者(流通・工事店)にその場でメール共有も可能です。
何回も出向くのが必ずしもよいサービスではありません。さらにデジタル化を推進して、わかりやすく安心できるリフォームの実現を目指していきます。

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