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渡辺パイプ、住建売上1000億円に王手 グループ売上高は3300億円超に

渡辺パイプ
渡辺圭祐 社長
1505号(2022/05/23発行)15面
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渡辺パイプ 渡辺圭祐 社長

渡辺パイプ 渡辺圭祐 社長

住設・建材流通大手の渡辺パイプ(東京都中央区)は2021年度のグループ売上高が前年度比105%の3327億円、営業利益は139億円と増収増益となる見込みだ。住建部門の売上は前年度比115%の944億円、営業利益が34億円の見込みで、来期は売上高1000億円突破を目指す。「多店舗展開で顧客を作るのはいずれ限界が来る。物販が増えなくても顧客とつながる仕組みを考えていく」と話す渡辺圭祐新社長に、今後の戦略について聞いた。

【聞き手/報道部長 福田善紀】

住建部門が事業の柱に

――グループ全体で105%伸長のなか、住建部門が前年度比115%と好調ですね。

ライフライン・水道設備は前年に比べて横ばいでした。そのなかで住建部門は115%伸長し、その結果、グループ全体の売上を前年比105%に引き上げました。売上だけでなく、利益面でも貢献するなど事業の柱に成長してきました。

――来期は住建部門で1000億円を超えますね。

3年前に1000億円を目標に掲げましたが、来期は達成できそうなので、もっと強気でいきたいです。当初は1000億円でしたが、今では1000億円以上を想定しています。なお、グループ全体では売上3600億円を目指します。

――来期、強化すべき点はどんなところでしょう。

昨年はオンラインでセミナーを開催したり、月3回の動画配信をしてきました。今では1万2000人が視聴しています。単なる情報発信だけでなく、顧客がどの動画を見たかを分析するなど、反応があったものに対してアクションを起こします。ウェブで受発注する仕組みも作りましたし、オンラインで見積もりも確認できます。取引先同士をつなぐマッチングサービス「セディア・コネクト」も展開しています。このようなさまざまなツールを活用してオンラインでの施策に磨きをかけていきます。

20万商圏への出店加速

――今まで通り、ユーザーの新規開拓は続けるのですか。

全社で約20カ所、そのうち住建は8カ所への新規出店を目指します。すでに山形県酒田市、茨城県筑西市、沖縄など空白エリアへの出店を予定しています。酒田市や筑西市の商圏は約20万人です。以前は50万人いないと商売にならないと思っていましたが、20万人商圏でも設備会社や工務店、リフォーム店、電気工事店など、その地域の顧客を集めると十分に需要があることがわかってきました。

――新規開拓後の展開が重要になってきますね。

その通りです。多店舗展開で顧客を作っていくのは2030年で限界を迎えるでしょう。これまでのように営業マンを増やして新規開拓する。 

物量を売ってメーカーから販売リベートを得るといった収益モデルは通用しなくなります。

来るべき時に備えて今取り組んでいるのは、物販が増えなくても顧客とつながっている仕組みづくりです。

リフォーム需要の掘り起こしへ

――具体的にはどのような取り組みですか。

昨年「セディアC&P」という会社を作り、コールセンターをはじめました。ハウスメーカーのOB客のデータをもらい、機器トラブルに関する電話業務をしています。さらに発展させて、インバウンドだけでなく、アウトバウンドも行って自分たちでリフォーム需要を掘り起こすのが狙いです。

エンドユーザーに対して自分たちが商売するのではありません。ハウスメーカーにその情報をフィードバックし、資材の受注ができればいいと考えています。いわゆる需要開拓のサポート。当社では「BtoC for B」と呼んでいます。あくまで「BtoB」ですが、BのためにCにアプローチするという取り組みです。

――物流にも力を入れていますね。

物流子会社「セディアトランスポート」は当社の配送を行っていますが、社外に対しても、現場の細かい配送をやれないかと考えています。少しずつ物流の外販を増やしていきたいですね。

――今期の目標は。

昨年、配送プラットフォーム「PickGo」を運営するCBcloudに出資しました。今後は配車の仕組みを改善していきたいです。どのトラックにどれだけ建材を積むかの「配車」、計画を立て、どこで荷物を下ろしたか、どこを走っているかの動態管理といった「配車計画」。これらの記録をとれば、ドライバーは日報を書く手間を大幅に軽減できます。このような建設資材業界向けの動態管理システムを作って「配車、配送状態の見える化」が実現すれば、システムの外販も可能になります。来季はオープンイノベーションをやる専門部署を立ち上げ、物流会社や動態管理システムの外販化などに本格的に取り組んでいきます。

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