ガーデンライフスタイルメーカーのタカショー(和歌山県海南市)の業績が好調だ。今年1月期の売上高と経常利益はともに過去最高を計上し、国内に限らず海外での売上も大きく伸長している。7月には、昨秋に続きリアルとネットを融合させたハイブリッド型展示会の開催も控えている。庭まわりからの新たなライフスタイル提案を進める、同社の高岡伸夫社長に話を聞いた。
タカショー 高岡伸夫 社長
「住む箱」から「暮らしを表現する場所」へ
――前期は前年度比12.4%増の207.8億円と過去最高売上高を記録し、経常利益も前年度比32.8%増の15.3億円と増収増益でした。好調だった理由をどう捉えていますか。
たとえば、よい食べ物にふれたら食べたくなる、素敵なファッションを見たら買いたくなるのに、なぜか庭ではあまりなかった。われわれは、家とセットで暮らしを提案するステージとして展開してきました。そこに価値を見い出していただける方が、売り手・買い手ともに増えてきたことが大きいのではないでしょうか。総住宅戸数約6200万戸の1%に単価30万円と試算しても1800億円の市場規模があると見込んでいますし、まだまだ潜在需要があると思っています。
――ただ、まだまだユーザーは庭を活用する暮らしをイメージできていない人が多いと感じます。どんな需要開拓手法を考えていますか。
ネット上でのショールーム化を進めています。最初に、視覚体験で庭まわりをパッケージ化したのが弊社。VR体験もそうですが、リアルへと誘導するハイブリッドが大切だと思っています。3Dではなく4D動画で、時間を空間の中にプラスして入れ、庭を含めた住まいが季節や時間軸でどう変化するか体験ができるようにしています。庭がある暮らしは「どんな暮らし方なんだろう」「こんな時間の過ごし方ができる」という体験をしてもらったらお客さんは虜になります。
ライフスタイル提案の旗手として
――例えば、晴れた夏の日中は庭でバーベキューをし、秋の夜はライトアップされた紅葉を楽しむなど、動画等で具体的な暮らし方まで伝えるということですね。近年日本では庭まわりのライフスタイルが重視されてきませんでしたので、それをVRなどのバーチャル技術を使い、伝えるのは興味深いです。
首都圏でいえば、家という「箱」が並んでいるだけで、建蔽率や住まい方をあまり考えずに、せいぜいカーポートを建てて終わりというのが6~7割くらいを占めている。そこにコロナ禍がきて、行き場がなくなり、ストレスで家の中でこもる人が多くなりました。
テラスで夕方、音楽を流してお茶やワインを飲んで、花と緑に囲まれたガーデンで過ごす。庭から暮らしを作れたら、すごく余裕が生まれます。昔は、隣近所の人がふらりと来てお茶を楽しむような文化が普通にありましたよね。ダイニングのほかに、小さくても良いからテラスがあると、とても豊かな時間が過ごせます。
――そうした暮らしには予算をかけるということですね。「庭を通して家を楽しむ」ライフスタイル提案で、具体的に心がけているのはどんなところでしょうか。
「風・光・水・緑」をコンセプトに庭を作りますが、皆が憧れるのはメルヘンの世界。それを空間パッケージとして、住宅とセットで展開をしています。リフォーム会社や工務店にとっては、予算に応じて必要なものを自由にオプションから選んで簡単に提案できるのが魅力。大手は製品流通のラインが決まっていますが、われわれは、ライフスタイルを提案しながら別注で大量販売できるのが強みだと思います。
バーチャルからリアルへの橋渡し
――7月28日、29日、東京流通センターで行う展示会「タカショーガーデン&エクステリアフェア」では、庭から始まるライフスタイル提案の具現化された中身がみられるのでしょうか。
デジタルとリアルのハイブリッド型の提案を体感できるのが「DXツール&リフォーム提案ブース」です。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を標準化しており、例えば、施工後のイメージが作れるアプリや多彩な条件に合わせた最適プランを検索できるパッケージプランサイトを用意しています。他がやっていない一番の売りはここですね。ほかにも好みのスタイルにカスタマイズできるフェンスや門扉など、画一的ではないものを用意しています。ぜひ工務店、リフォーム会社の方には来場していただきたいですね。
7月28日、29日には東京流通センターでタカショーガーデン&エクステリアフェア2022を開催
(聞き手/報道部長 福田善紀)

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1655号(2025/07/07発行)17面
- 1653号(2025/06/16発行)12面
- 1651号(2025/06/02発行)12面
- 1649号(2025/05/19発行)7面
- 1647号(2025/05/05発行)15面