リビングハウス 北村甲介 社長
住宅会社が100社以上利用
ピーク時から縮小傾向にあった家具業界の中で、急成長を遂げているリビングハウス(大阪府大阪市)。先日はテレビ東京系列の人気番組「カンブリア宮殿」にも出演。「日本を空間時間価値先進国へ」を合言葉に、インテリアを通じて明日が待ち遠しくなる空間づくりを目指し、現在全国にインテリアショップを31店舗展開する。同社の強みである空間コーディネートと工務店やリフォーム会社向けの新たな取り組み、今後の展望などについて北村甲介社長に聞いた。
潜在的な「変えたい」を見える形に
――「カンブリア宮殿」の反響が大きいようですね。
普段からやっていることを言語化して映像にしたら、すごく反応していただいた感じです(笑)。ただ、番組を通して僕らもこれまで言葉で訴求できていないことに気付けました。世の中の多くの人が「インテリアコーディネート」という言葉を知っているかはともかく、部屋を調和して良くしたいというニーズが相当あるのは再確認できましたね。
放送後、札幌の店舗に「番組を見た」という老夫婦がいらして、自宅をリフォームするのでインテリアを見てほしいと言っていただきました。顧客層もリフォームも、今まで接点がなかったの
で、気づきとチャンスを感じました。
――コーディネート事業は何がきっかけになったのでしょうか。
昔、配送で1000件以上のお宅に伺った際に、おしゃれな家づくりがあまりうまくできていなかったのを見て、歯がゆくなったのが原体験です。ヨーロッパの人たちは、ソファなども飽きたら替えることが多いけれど、日本には買い替えのカルチャーがない。家の広さや間取り、家具の大きさや色も違うので、パターン化させるのはすごく難しい。だからこそ、われわれはそれをやろうとしたんです。
「暮らしの提案」ができるかが成否
――そこで、家具を販売しながら部屋をコーディネートしてあげるサービスを始めたのですね。工務店やリフォーム会社も取り組めたらいいですが、ハードルが高そうです。
もともと家の中まで良くしてあげようという住宅会社が少ないうえに、それを自前で磨き上げていくとなるとさらに難しい。北海道のジョンソンホームズさんがアクタスのフランチャイズをしていますが、一般的な工務店さんが自前でやるのは厳しいと思います。
――とはいえ、今後、インテリアまで含めた「暮らしの提案」は必須になると思います。御社はそうした業者との提携もしていますよね。
工務店から顧客を紹介してもらい、インテリアのアドバイスをしたり、家具をローンに組み込んで提供してもらったりしています。「スマート」というサービスで、始めて約1年くらいですが、すでに100社以上がネットワークに参加しています。
例えば楓工務店(奈良県奈良市)では、モデルハウスのインテリアコーディネートをやらせてもらっています。そこで、お客さんはインテリアと住まいとのマッチングを目の当たりにし、提案を希望する人はわざわざ奈良から大阪まで来てもらっています。そこでの家具の成約率は8割近くとなっていますね。
――なるほど、工務店さんは、御社と組むことでインテリアを含めた提案が実現しますから、差別化になりますね。「スマート」を活用する上での成功のポイントはありますか。
インテリア提案が上手くいく、いかないのポイントがあるとすれば、現場にうまく落とし込んで、インストールできる仕組みにできるかだと思います。楓(工務店)さんはそこがとても強いから上手くいく。そういうマインドのある会社とは、ぜひご一緒したいと思っています。
また、リビング・ダイニングで一通り購入していただいた家具を納品後の竣工事例の写真を撮って、SNSなどでの二次集客の宣伝用に使えますよというサービスも考えています。商材撮影の体制がないところには感謝されるかなと。
ともに家をつくる、という取り組み
――顧客と向き合っていることも御社の提案が受け入れられているポイントかと感じます。
うちには、商品部という商品をつくりセレクトコーディネートする部署があるんですが、そこでは何年かおきに社員がお客さまの家を回っています。どんな暮らしをしていて悩みがあって、どんな機能が必要かを知るためですが、そこから開発した家具や雑貨もあります。
店舗スタッフは、フルコーディネートさせてもらったお客さまには納品後に見せてもらっているので、その実感値も蓄積されている。住んだ後の家の状態は、工務店やリフォーム会社より僕らの方が分かっているという自負はあります。
――今後、工務店やリフォーム会社とどんな連携を考えていますか。
商業施設内テナントの退店が多い中で、空いた区画や大きなスペースへのオファーも増えています。新しいモデルとして、各地域の工務店やハウスメーカー、リフォーム会社と組んで、店舗内にモデルハウスを一緒に作れたらと思っています。出店交渉は全国展開している僕らがやるのでハードルは下がりますし、そうした組み方もあると思っていて。
新しい暮らしの提案を一緒にできたら良いですね。
(聞き手/報道部長 福田善紀)

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