神谷コーポレーション湘南(神奈川県伊勢原市)が製造・販売する室内ドア「フルハイトドア」は、2005年の発売以来、デザイン性と高級感を求める層を中心に支持を集めている。木製ドアの課題である反り対しても研究を重ね、人気シリーズを生み出してきた。来年、フルハイトドアの誕生20周年を迎えるにあたり、商品戦略や今後の方向性について、神谷忠重社長に聞いた。
空間演出しお客様に感動を
「間仕切り」から
空間演出するドアへ
神谷忠重社長
──フルハイトドアは、どういった経緯で生まれたのでしょうか。
フルハイトドアを開発する前、ハウスメーカーの下請けを長らく事業にしていました。当時は、メーカーや工務店、施主にとっては、ドアはあくまで「間仕切り」という概念でした。
そこで、部屋のイメージをつくるものとして、間接照明や家具などがあるなかで、私どもはドア1つで空間を大きく演出したいと考えました。ドアを大きくすることで、空間は広がりますが、木製ドア特有の反りが発生するし、枠もできるだけ隠したい。研究を重ね、19年前フルハイトドアが完成しました。
──発売当時と比べて、室内ドアそのものや、フルハイトドアの優先性の変化をどう感じていますか。
家づくりをするなかで、ドアは後回しにされがちな存在でしたが、今ではドアそのものが、こだわる建材のベスト5以内に入っていると思います。フルハイトドアの認知度も高まっていて、8〜9割は施主からの指定です。フルハイトドアを標準で施工してくれる工務店も増えました。弊社のサイトに、全国でおすすめのビルダーや工務店を掲載しています。ある工務店が「フルハイトドアは標準装備です」と言ったら、施主に驚かれたと話していました。
リノベーションでも
受注増
──現状でのリフォームと新築の受注割合と、新築住宅の着工数が減少するなか、描く商品戦略について教えてください。
いまだ新築の方が多いですが、高級志向になっているリノベーションも、全体の20%くらいまでになっています。月に5、6件は現在お使いのフルハイトドアを弊社が下取りして、新しいフルハイトドアに付け替えることのできるプチリフォームシステム「ドアップ」の要望がありますね。
これからは、より空間を演出できて機能性のあるドアを作っていきます。例えば、生活に配慮した遮音性の高いものなど、単に広く見えるというだけではなく、間取りやライフスタイルを意識した機能面に力を入れていきたいですね。
扉を大型化し重厚感を持たせたリビングドア「CAESAR(カエサル)」。両袖にガラスを配置することで、ドアを閉じていても開放感や明るさを常に感じられる
ホワイトのベースカラーにブラックのラインを加えた室内ドア「BLACK LINE(ブラックライン)」。開閉のたびにブラック色のエッジが見え隠れする
高い品質で
感動を与える存在に
──来年、フルハイトドア発売20周年を迎えますが、今後の方向性はどのように考えていますか。
家にフルハイトドアを付けることで、お客様に感動を与えたいです。人を感動させることができるのは、風景などを除けば「人」しかいない。そういう観点を大切にしていきたいですね。「家を建てるときに、フルハイトドアの存在を知っていたら」などと言われることもあって、後になって悔やんでいるという方は本当に多いので。
──今後予定されていることがあれば教えてください。
今年6月頃までに横浜ショールームの入る本社ビルの下階にギャラリーを作ります。これは、美大生などのクリエーターに作品発表の場所を提供したいのと、フルハイトドアを購入・設置いただいたプラチナ会員の方々に、ショールームに足を運んでいただけるきっかけにしたいからです。
プラチナ会員は、今年4月1日時点で1万6091人にご登録いただいています。将来的な商品のアップグレードを含めて「購入後の施主との継続的つながり」をしっかりと生み出していきたいですね。
暮らしごとのシーンを体験できる伊勢原ファクトリーショールーム
会社名 | :神谷コーポレーション湘南 |
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代表者名 | :神谷忠重 |
本社所在地 | :神奈川県伊勢原市 |
創業年 | :1942年2月 |
従業員数 | :175人(今年4月1日時点) |
事業内容 | :室内ドアの開発・製造・販売等 |
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