旭化成リフォーム 森田敏晴社長
旭化成リフォーム(東京都新宿区)は、大型改修など、以前売上げの大半を占めたメンテナンス以外のリフォームを強化している。大型改修等の部門である増改築・内装設備工事の2012年度売り上げは前年度比26.5%増の208億円を記録。全体売上高に占める割合は45%と、まもなく5割に迫る勢いだ。中期経営計画で2015年度には年商700億円を目指す同社の戦略を森田敏晴社長に聞いた。
太陽光を年2648台販売
―――前年度は、増改築・内装設備工事が随分と伸びましたが、好調の要因は何でしょう。
1つは太陽光です。2011年度の販売は2152台でしたが、12年度は2648台になりました。
―――計画値は2500台でしたので、100台以上上回りましたね。
お客様の反応が予想よりもよかったことと、東京都の補助金が最後だという噂があり、駆け込みが生じていたと思います。
―――500万円以上の大型リフォームも強化されていましたね。計画では年間900件の受注計画でしたが、結果はどうでしたか。
対前年比457件アップの1227件でした。伸びたのはお客様の展示場誘致を推進した点が大きいですね。展示場に来ていただくと、まさに百聞は一見にしかずということで、「以前買ったヘーベルハウスとこんなに違うのね」と夢が広がるのです。
―――今まではOB客の方が展示場に来るケースが少なかったのでしょうか。
紹介しないとダメかななど、来場の敷居が高いと思われている方もいらっしゃいます。そうじゃないんです、ぜひ気軽に来てくださいと、相談会やセミナーなどを開催し、お客さんを呼び込んだことが非常によかったです。
―――昨年は初のショールームも作られましたよね。
大宮と千葉と大阪の3つの営業所にショールームを作りました。そこでは単に設備を並べているのではなく、住まい方を提案するような展示をして、そこにもお客様に来ていただいています。今年の5月には名古屋にもショールームを新設しました。
今期売り上げ目標は525億円
―――今期の計画は525億円とさらなる増収を見込んでいますが、どの項目でどのくらい伸ばす計画ですか。
太陽光は20%ほどのアップ。大型改修は10%、外壁・防水などのメンテナンス系で15%ほどの伸びの計画です。
―――ただ、太陽光は補助金が減額されたうえ、売電価格も下がったので状況は厳しいのではないですか。
はい。そのため当然売値も下げているのですが、やはり1kWあたり10万円だった東京都の補助金が2万円になったのは大きいです。その反動が4、5月と続いていますので、テコ入れを行っています。売値はメーカー協力でのコストダウンだけではなく、販売推進的に下げていますし、社内の販売コンペなども実施中です。
―――大型リフォーム増収の計画は。
引き続き、お客様に同じような形で展示場やショールームに来ていただくことですね。それと、商品の複合提案。塗装だけじゃなく、太陽光をセットにするとか、外壁だけではなく外構の提案もするなど、複合提案ができるように商品化、ならびに営業の訓練をしています。今はどちらかというと外壁提案目的で訪問すると、それだけの話をしていました。しかし、足場があるときに、太陽光も設置しませんかなどと提案するとお客様の興味も広がります。うまく両方の受注につながると500万円以上の金額になる場合があります。
―――営業の訓練とはどのようなものですか。
マーケティング部という販売促進のスタッフが月1回のペースで特建営業部以外、16カ所の拠点を回り、本社の政策を浸透させます。
―――ところで今、営業人員は何名くらいいるのですか。
昨年度は25名ほど増やしまして、2012年度終了時点で305名です。今期は既に上期で320名ほどになりまして、下期も20名ほど増やしたいと考えています。
―――昨年度よりも、増員する計画なのですね。
というのは消費税増税前ということで、需要に応えるために人員を増やしています。外壁塗装などのメンテナンス系の工事は必要不可欠ですから、まさにいつやるのといったら、今でしょと(笑)。消費税が上がる前に計画しておく必要がありますから。また、ストック数は毎年伸びていきますので人員は増やしていきます。
メンテナンス工事が減少へ
―――毎年7000~8000件ストック数が伸びていますから、メンテナンス売上げは順調に伸びそうですね。
そうでもありません。今私どもは15年耐久の外壁・防水仕様のお客様をターゲットにしています。しかし、2006年に30年のロングライフ仕様を採用したため、もう少し先ですが、従来のお客様がなくなると覚悟しないといけなくなります。
―――塗装しましょうといった営業ができなくなってきますね。
ですから塗装に関しては、昔1回目の塗装をしたお客様は、耐久年数が30年ではない場合がありますので、そちらの提案なども行います。数は断然少ないですが。今後、メンテナンス受注が厳しくなるという意味でも、増改築や内装設備に力を入れなくてはいけません。

所在地 * 東京都新宿区 / 売上 * 463億円 / 営業利益 * 61億円
拠点数 * 17カ所 / 営業人員 * 305名(2013年3月末時点)

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