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反射瓦やコケ瓦、次世代の瓦を創造新東

反射瓦やコケ瓦、次世代の瓦を創造 新東

新東
石川達也 社長
1023号 (2012/05/08発行) 7面
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新東 石川達也社長

新東 石川達也 社長

粘土瓦メーカーの新東(愛知県高浜市)は今年50周年という大きな節目を迎える。平板瓦の量産化や研究センターの設立など業界に先駆けた取り組みを行ってきた同社の石川達也社長に今後の戦略などを取材した。

オンリーワンを目指す

 ―――最盛期16億枚以上の生産数があった瓦ですが、新築マーケットの縮小などで、今は生産数が半減したと言われています。その中で御社はどのように新たな時代を乗り越えようとしているのでしょう。
私どもは新たに変わったことをしようとは思っていないです。ただ、会社の理念としてオンリーワンを目指しています。このオンリーワンとは「新東面白い」「やっぱり新東すごいね」と言われる会社を実現することです。具体的にどう実現するかというと、次世代の屋根を創造していくことを意識しています。

 ―――次世代の屋根ですか、和型瓦の文化の中では変化をつけることはなかなか難しいように思えますが。
その通りです。そこで父である先代がテクノセンターという研究センターを作り、開発に力を入れていく方向性を打ち出しました。その中で生まれてきた瓦が、例えば日射を従来の約2倍跳ね返す反射瓦やコケを生やした環境瓦です。また、今は休止にしていますが、サンブレスという太陽光一体型の瓦も作りました。現在は、シャープが類似の一体型を作りましたので、特約店となり取り扱っています。

 ―――粘土瓦で日射を反射する商品は初めて聞きました。
通常の黒色瓦は20~25%ぐらいの日射反射率ですが釉薬に特殊な反射顔料が混ぜてあり、反射率が約2倍の40%となっています。真夏の暑い時に瓦の温度が上がらなければ、太陽光の発電効率の低下を抑制できるかもしれないため、太陽光とセットにしてアピールしています。

 ―――あとコケを生やした瓦とは珍しい。でもあまり数がでるものではありませんよね。(笑)
確かに数はでません。新しい切り口ということです。瓦1枚1枚の中にコケを盛り込んでいるもののほか、太陽光モジュールのように組み合わせて面状にした商品もあります。面状にすることで住宅ではなく例えば、緑地面積に苦労されている企業の工場の屋根にも対応できます。コケの栽培も行っており、秋に面積を増やす予定です。芝生ですと、水をやらないといけないですし、刈り込みも必要です。一方、コケは芝生みたいなスピードで伸びてきませんし、水は雨水と朝露で大丈夫です。屋上緑化の世界でもまだ芝生が多いのですが、コケの緑化が肉薄してきました。このままですと、どこかで追い抜くといわれています。

 ―――商品で言いますと昨年秋からはAHI ROOFINGと代理店契約を結び、ストーンチップ金属屋根の販売を開始しましたね。
瓦だけにこだわらずに新しい市場を開拓していこうとしています。屋根の葺き替え時、瓦から瓦には対応できますが、コロニアルや板金屋根から瓦には対応できません。つまり私どもから提案する商材がないのです。瓦の仕事が大分なくなってきている環境からするとたぶん、仕事を選ばずに販路を広げたいと思っているお客様はいるはずです。その時に従来の商流の中で金属屋根商品を提案できるようになればプラスになるのでは、と考えました。

 ―――ストーンチップは日本ではまだ普及していませんが、メンテナンスがほとんど必要ない点で面白い商材です。
高い商品なのでバンバン売れるものではありませんが、たたき合いが激しい建材の中でまだ値崩れがあまり起きていません。そのためリフォーム市場で、注目する人はいると思います。

 ―――OEMという形ではなく、代理店として商品の取り扱いを行った理由はなぜですか。
もしOEMでお願いすると特殊形状、カラーになるので、単純にコスト的な競争力が生まれないのではと思っただけです。AHI ROOFINGの物流では網羅できていない地域もあります。仮にAHIの大阪倉庫から買っている人がいるとすると、新東から同じものが同じ値段で買えるのなら私どもから買っていただける方がいるのでは、と考えました。


会社概要
所在地 * 愛知県高浜市 / 代表 * 石川達也氏 / 設立 * 1963年9月
売上高 * 86億1200万円 / 従業員 * 178名 / 月間平板生産量 * 400~500万枚

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