クリナップ
常務執行役員営業本部 営業推進部部長
藤本眞一氏
クリナップの業績が好調だ。先日発表された第3四半期累計売上高は前年同期比9.8%増、営業利益は50.3%増。通期売上高計画では9.8%増の1236億円を計画している。水まわり関連事業のキーマンである常務執行役員、藤本眞一氏は流通、工事会社と〝三位一体〟でリフォーム需要を掘り起こしていくことが重要だと話す。
「駆け込みがきている」
―――今月から消費増税が8%になりました。今年度の新築着工戸数をどう予測しますか。
80万戸後半くらいかなと思います。調査会社のデータを分析してみると、今年度よりも10%くらい落ちると見ている方が大勢です。
―――1997年の前回増税時には20~30万戸減少しました。
前回と同じになるとは考えていません。97年と比べると景況感が異なりますからね。ただ住宅の量も満たされていますし、将来的には新築が増えるのは考えられません。特にターニングポイントとなるのは2015年の消費増税。そこが区切りになるかなと思います。
―――今現在、増税前の駆け込み需要はありますか。
12月から駆け込み受注が数字に表れています。思っていたよりもきたという印象です。反動減もそれなりにでてくるのでしょう。
―――増税後のリフォーム需要についてはどう考えますか。
大手企業に4月以降のリフォームについて聞いたら、明確な答えはありませんでした。前年並みを期待していますが、ただ、増税後の第1四半期ははやりマインドが冷え込むでしょう。その後、消費財なら回復すると思うのですが、耐久消費財はどうなるか見えないですね。
リフォーム比率6割
―――国はリフォーム・中古住宅流通を推進しています。やはり成長のカギはリフォーム市場にあるのでしょうか。
間違いないです。そのためには業者のネットワークをつくって、どれだけリフォーム需要の掘り起しができるかが重要。そして、商材は開発陣が頑張って作っていますので、そのモノを前面に出したショールームを使って需要を開拓していく、基本はそこです。
―――今、売り上げにおけるリフォームの比率はどれくらいなのでしょうか。
キッチンでは60%です。バスはまだまだ、たいしたことがありません。
―――2011年6月にステンレスキャビネットを標準搭載した「新クリンレディ」が発売され、売れ行きも好調なようですね。
従来よりも2割以上販売数が増え、売り上げの底上げになりました。フィルターを自動洗浄する「洗エールレンジフード」や汚れがつきにくく音が静かな「美サイレントシンク」などの機能が評価されています。
―――中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」を目指すと掲げ、中高級品を強化すると打ち出しています。高価格帯のキッチン「S.S.」にも注力するのでしょうか。
差別化を図るためには付加価値の高い中高級品のシェアアップを優先します。「クリンレディ」もそうですが、「S.S.」も増やしていきたい。普及商品については、マーケットでの存在感を示すのに必要です。品揃えの強化、継続的な販促によって販売量を確保したい。
―――最近は「S.S.」のオプションとして「美コートワークトップ」を発売されましたね。
これは汚れや傷がつきにくいステンレスワークトップになります。例えば油汚れがワークトップに付いた時、ふき取ると汚れが伸びただけのことがあります。「美コートワークトップ」だと、油汚れそのものが取れ、お手入れが非常に楽。売れ行きは計画通りです。
3400社の工事会社
―――最近は情報発信の場であるショールームをかなりの数リニューアルしていますね。
今ショールームは102カ所ありますが、ここ2年で、30カ所くらいは移転・リニューアルしています。来年度も一定水準で継続していきます。重要なのは数よりも質。特に、入ったときの印象や商品の見やすさ、説明しやすさなど。クリナップの行動理念に掲げられている「食・住文化」に関連したコンテンツを作り、リフォーム需要を取り込めるショールームを目指します。
―――リフォーム市場攻略には、工事店ネットワーク「水まわり工房」の活躍もカギを握るでしょう。
7年前にスタートし、現在3400社に上ります。賛助会員である流通会社は、事務所ベースで言うと1200あります。数的には十分です。あとは私たちと流通さんとリフォーム元請け会社さんの3社で強みを持ち寄り、"三位一体"で需要を掘り起こしていくことが重要です。

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