橋本総業 橋本政昭社長
流通会社は、消費増税後のマーケットをどう見るかー。今回は東証二部に上場し、管材、設備、空調の流通事業で1100億円を売り上げる橋本総業(東京都中央区)にインタビュー。橋本政昭社長は「3つのトータル」という方針で拡大を図ると話す。
80万戸で推移
―――今年4月に消費税が上がりました。2014年の新築着工戸数はどう予測しますか。
自社データでは予測せず、建設経済研究所のデータを基準にしています。それだと2013年が98万戸で、2014年は90万戸前後。一割くらいのダウンです。さらにその次の年に1割ダウンし、80万戸くらいになる。それがしばらく続くというような感じです。
―――リフォーム市場規模の見通しをどう考えますか。
リペア、リフレッシュ、リニューアルの3つがあります。500万円以下のリフレッシュとリペアはすごく消費と連動しているんです。お金ができたときに、海外旅行に行くのか、車を買うのか、リフォームするのかということ。やはり節約しようっていう人は増えるので、消費税が上がったら一時的に落ちると思います。今年は車買うのも、海外旅行も控えるという感じでしょう。500万円以上のリノベーションは全く違う分野で、これはきわめて新築に近い。この分野は増える。躯体はたくさんあるんだから、これを使って新築より価格を下げたいというニーズが多くあると思います。
―――国は今、中古住宅流通活性化を推進しています。これに関連するリフォームはどう見ますか。
これは増えていくでしょう。中古住宅の個人間売買には消費税がかからない。特に買った人がリフォームするでしょう。
―――橋本総業では売上高の5割が住宅関連で、その他が非住宅になります。今後新築着工戸数の先行きが不透明な中、どのような施策を進めていくのでしょうか。
3つのトータルという方針があります。1つ目が物件のトータル受注。着工が減るということは、案件の数は減ると思うんです。そのためには1案件あたりの受注金額を増やすしかない。物件ごとにこういう商品を使いますよという「機器表」というものが必ずあります。トイレはどれにする、ユニットバスはどれにするというようなものが分かる機器表を入手し、なるべくトータルで受注しようと。
2つ目がメーカーさんのトータル販売。これは各メーカーさんの全商品を売れるようにしようということ。例えばTOTOさんの商品はたくさんあるけれども、うちが売っていない商品もある。
―――TOTOさんとの関係が深い橋本総業さんでも売ってない商品があるんですか。
衛生陶器は1位ですが、彼らがシステム系といっているバスとかキッチンの部分は弱い。これは建材ルートで売っています。そして方針の3つ目が商品のトータル販売。機器販売に加えて部材や施工も込みで請けていくということ。例えば給湯器だったら配管がいるし、リモコンもある。こういう部材も合わせて売っていく。場合によっては施工込みで請けていきます。
トップディーラーに
―――さらに強化したいことはありますか。
「もっと先までいこう」ということも方針にしています。今商品の販売店さんの所までしかいっていないのであれば、そこにいるキーマンと呼ばれる売り子のところまでいこうと。そしてその売り子の人たちの先に、工事屋さんがあります。その販売先、あるいは現場まで一緒にいき、協力して営業していこうとしています。
―――管財から設備、さらに空調も取り扱い、商品の幅も広がってきていますね。
今、管材・建材・電材業界の垣根がなくなってきました。こういう中、私どもが、建材業界にいったり、電材に行ったり、あるいは燃料にいったりして新規開拓をしていきます。例えばダイキンさんのディーラーには電材店が多いのですが、そのディーラーの中で、私どもは日本一です。電材ルートよりもたくさんエアコンパッケージを売っていたりします。各メーカーのトップディーラーになっていきたい。
―――橋本総業さんが他の卸業と異なるのが「みらい会」という活動を行っていることです。これも今後、力を入れていくわけですね。
みらい会は500社、1000事業所のネットワークで「みらい活動」を行っています。この活動はメーカー、卸業者、販売店、工事業者が四位一体となって顧客のニーズに応えるためのネットワークを構築し、情報やノウハウ、ビジネスの場も共有しています。
これは昨年の11月に日本科学技術連盟の「品質革新賞」を受賞しました。流通で選ばれたのは初めてです。この活動を進化させていきたい。

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1653号(2025/06/16発行)12面
- 1651号(2025/06/02発行)12面
- 1649号(2025/05/19発行)7面
- 1647号(2025/05/05発行)15面
- 1643号(2025/04/07発行)16面