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タカラスタンダード、中高年層のニーズつ...

タカラスタンダード、中高年層のニーズつかむ戦略

タカラスタンダード
土田 明専務
1129号 (2014/07/15発行) 13面
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タカラスタンダード 土田 明専務

タカラスタンダード 土田 明専務

 高品位ホーローの住設機器メーカー、タカラスタンダードの業績が好調だ。昨年度の業績は過去最高を更新し、4期連続増収増益を達成。今期売上高は、前年度比2.3%増の1870億円を見込む。土田明専務は「50~60代のリフォーム潜在需要を掘り起こし、リフォーム売り上げ拡大を図っていく」と語る。

首都圏のショールーム強化

 ―――昨年度の新築着工戸数は、消費増税の駆け込み需要で大幅に増え98万戸でした。今期は各社1割減との見方ですが、御社ではどう見ていますか。
 今期は88万戸程度になると予測しています。中期的に見ても、新築は減少傾向で推移していくと思います。日本全体で見れば、人口が減少し、世帯数も2020年から減少していきます。しかも人口は都市部に集中していく。だから住宅市況はより都市部集中型になっていくのではないかと考えています。

 ―――全国170カ所にあるショールームのうちの40カ所を全面改装した結果、ショールームでの決定率が上がったそうですね。改装で配慮した点は。
 タカラの特色が一目で分かるような展示になっていることです。空間展示にも力を入れ、その空間にどういうコンセプトの商品が並んでいるのかが分かります。ミスマッチがなくなり、ニーズに合った提案ができるので、その点で決定率が上がりました。お客様にとって分かりやすく、そこで商談していただく流通・リフォーム業者さんにとっても説明しやすいショールームとなりました。

ホーローのすそ野拡大

 ―――売り上げにおけるキッチン事業の比率はどれくらいなのでしょうか。
 全体の約6割です。最高級キッチン「レミュー」、中級の「エマージュ」、普及価格帯の「エーデル」の3つが基本です。金額の比率で見ると、戸建て用については高級が20%、中級と普及価格帯が40%ずつです。

 ―――キッチン全体の中で、戸建てとマンション用の比率は。
 おおよそで戸建てが7割、マンションが3割です。

 ―――昨年、「レミュー」のさらなる高級化を図り、ワークトップに高級人造石のクォーツストーンをオプションで採用しました。こちらの売れ行きも好調なようですね。
 今、ものすごくヒットしていて、予想の3~5割増です。クォーツストーンはヨーロッパのキッチンでは一般的ですが、日本ではどこもオプションでしたから、オプションでなく取り入れたのはうちが初めて。最近のキッチンはオープンキッチンが増えていますから、高級感のあるデザインが評価されているのだと思います。

 ―――今年は、普及価格帯の「エーデル」の価格を1割強引き下げるという大胆な戦略を打ち出しました。
 「エーデル」については最高で13%、値下げしました。これはホーローのファンのすそ野を広げていく戦略です。設計仕様を見直してシンプルにしました。開発と生産担当が努力して、思い切り値下げしました。販売台数は増えていますが、1割値下げしたから台数も1割増やさなくてはいけない。

 ―――普及価格帯商品についての戦略は。
 これも仕様を強化します。また、夏ごろをめどに、中級のモデルチェンジを計画しています。値ごろ感を出そうと、値段を据え置いて、仕様を少し上げることを検討しています。中級は上と下に引っ張られがちですが、やはりボリュームゾーンですからテコ入れが必要です。

在宅介護シャワー発売

 ―――今後、新築着工数が減る中で、リフォーム売り上げを拡大させるための施策は。
 今、ショールームには中高年層の来場が増えています。特にリフォーム世代の50~60代には、値段が高くてもいいものを長く使いたいというニーズがある。高価格帯商品に対する抵抗感がない世代でもあります。このマーケットには大きなチャンスがありますね。

 ―――この世代が持つ資産を、キッチンなど住まいに使っていただくということですね。
 もう1つは、1990年代前後に年間150万~160万戸ほど新築が建てられた時代があって、それらの住宅が今、リフォーム適齢期を迎えています。だから、中高年層のニーズとリフォーム適齢期の住宅、この2つの掘り起こしがカギになりますね。

 ―――高齢化市場の拡大も打ち出されていますね。
 需要創造型の商品として、「ぴったりサイズシャワーユニット」を今年2月、発売しました。キーワードは在宅介護です。立ち上がりが結構好調ですよ。自由にサイズをオーダーできるので、既存住宅に後付けできます。例えば2階の押し入れをシャワールームにして2世帯住宅にすることも可能。リフォームユーザーの商材として今後全国展開していきます。

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