エディオン 藤原弘和執行役員 営業本部ELS統括部長
わずか5年でリフォーム売り上げを443億円に伸ばした家電量販店エディオン(大阪府大阪市)が今期635億円、2年後の1000億円に向け新たな展開を進めつつある。玄関ドア、塗装といった今まで手掛けなかった領域まで受注範囲を拡大させたほか、中規模家電店舗へのリフォームコーナー設置も開始した。同社の藤原弘和執行役員・営業本部ELS統括部長に売り上げ倍増に向けた戦略を聞いた。
昨年末に駆け込み発生
―――前期は第3四半期でリフォーム売り上げが約300億円と計画の450億円到達に向けたペースとしては、厳しい状況でした。それが、通期決算は443億円と計画に対し近似値で着地できたのは、消費増税前の駆け込みがあったせいでしょうか。
駆け込みはありました。10月、11月、12月は、リフォームのほか、太陽光やオール電化も結構多かったです。本来太陽光は、2月3月が伸びるのですが、前倒しされた形です。
―――つまり、工事を年度内に終わらせるために、昨年の末の受注が増えたということですか。
10月1日から受けたものについては、消費増税に該当しないのは3月31日までの工事じゃないですか。そこで3月中に終わらせるためには、3カ月前倒ししていまして、終わってみると12月がピークでした。補助金の関係もありましたし。
―――住設機器の受注ピークはいつでしたか。
2月が多かったです。ただ、施工が終わらず4月にずれ込んだものも一部あります。
―――では、前年度約100億円の増収ができた一番の要因は何だったのでしょう。
リフォーム扱い店舗を増やしたことと、人員を増やしたことです。
―――前期、約40坪のリフォームコーナー開設店は、直営369店舗中214カ所とのことでしたが、中規模家電店にもリフォームコーナーを開設したのですか。
いえ、前期は基本売り場面積が800坪以上の大型店への開設です。まだそこが終わっていませんでした。一部600坪以上の店もありますが。
―――リフォーム、太陽光、オール電化を含めた1店舗あたりの売り上げは、どのくらいですか。
年間10億円いっているところもあれば、低いところもあります。スタッフ数は、全体で約500人。2人のところもあれば、多いところは10人ほどですので、基本3人前後です。全体の10%ほどがパート社員です。
―――一番売れる商材は。
金額でいうとバス。売れ筋でいうと85万8000円が売価のラインなので平均単価は80万円前後。キッチンの単価も似たようなものですね。
―――台数はトイレが一番だと思いますが、単価は。
トイレの入れ替えと床などの内装工事も含めると20万円ぐらいですが高いものだと30万円します。内装なしの10万円前後もありますが。
―――トイレは、全店舗で展開する小規模取り換えリフォーム「ぷちDEリフォ」でも取り扱いがありますよね。
「ぷちDEリフォ」だけでトイレの販売が月間1000台ほどあります。同商品での扱いアイテムはほかに洗面化粧台、レンジフード、食器洗浄機。食器洗浄機は年明けからでして、4月5月の2カ月800台ぐらいの販売でした。価格は一番下の商品で9万円強です。
―――食器洗浄機はどんな提案をしているのですか。
キッチンを使い10年、15年と経つとビルトイン食洗器が壊れてしまっています。しかし、どこに買いに行っていいのか分からないため、買い替えずに電源も入らないという方が多い。そこで買い替えの需要に訴えました。
エディオンのリフォーム(エコ・リビングソーラー商品)売上推移
今期43.3%増を計画
―――今期は前年度比43.3%増の635億円と大きなリフォーム売り上げを見込んでいます。そのための中心戦略は。
来期1000億円を目指すことも含め、まず1店舗あたりの売り上げを増やしていかないといけない。キッチンも、バスもトイレもまだまだ少ないです。一方、取り扱い品目を増やしていく。ただ、大型物件をまるごとやっていくことは考えていません。あくまで500万円でおさまる工事です。
―――取り扱い品目の増加とは、昨年広島で始めた規模の大きなリフォーム商品「おうちDEリフォ」ですね。
広島本店に昨年の後半に導入し、今年3月に広島のアルパーク南店、4月に御影店、5月に豊田本店と今4店舗です。来年3月末までに10店舗まで拡大していきたい。玄関ドアを変えたり、外壁を塗り替えたり、あとは畳を和紙の畳に変えるといった提案をしています。つまり水回り工事だけだったのが内外装を手掛けたということです。
―――多いのは玄関ドアですか。
そうです、単価は27万8000円からです。あとは外壁塗装と意外に和畳が多い。
―――キッチン、バスの販売台数を増やす方策は。
まずは、しっかりとお客様に対応する人を増やす必要がある。前期スタッフが約500人でしたが、家電スタッフ数の配置換えなどで1000億円やるためには倍ですね。そのときはパート社員も約3割になる予定です。社員だけでは人件費が大きすぎますので。店内でパート社員にお客様の対応をしてもらい、アポイントまでつなげる。そして社員が現場調査に出向く流れです。
―――社員は、リフォーム、太陽光、オール電化のすべての対応ができるのですよね。教育は、以前から行っていたオンライン研修ですか。
基本は、集めて定期的に開催しています。まず家電量販店がなぜリフォームをやっているかというところから始まります。
―――根本から行うのですね。
結局、リフォームというのはお客様がわざわざ電気屋に買いにくる商品ではないので、なぜ私どもがやっているかという説明です。少子高齢化で家電品は伸びが難しい。家電量販店の集客力を武器にし、リフォームをやっていくという話をします。次の基本のキッチン、バス、トイレという商品説明に入る。その後は、施工の部分や接客のアポイントの取り方、現調の仕方、など1つずつ行う。それも、トイレはトイレでやらないと混乱してしまいますので、ステップワン、ステップツー、ステップスリーと分けて行っていきます。
―――完成商品である家電品を売っていた人は未知の領域でしょう。
接客対応はしっかりとできますが、家電から来る人はお客様から何を聞かれるか怖いようです。男性の社員が多いじゃないですか。主婦目線で聞かれたことに関して、料理したことがない、掃除をしたことがない人は不安があるのでしょうね。
玄関ドアや塗装リフォームも開始
協力業者数を3割増
―――リフォームはオーダー商品で工事が伴うので、そうした違いもありそうです。ところで、売り上げ拡大には施工体制も強化が必要だと思います。
協力業者数は、前期で約180社ですが、今期3割ほど増やし230社にします。施工に携わる管理者も倍にする予定です。
―――リフォームコーナー設置店も今期56店増やす計画ですね。
今期は、売り場面積が600坪ぐらいの店舗まで導入していきます。商圏内の売り上げが高い店舗については、450坪ぐらいの店舗にも入れる予定です。
―――リフォームコーナーは基本、キッチン3台、バス3台、トイレ4台の商品展示でしたが、展示数は少なくなりますか。
2、2、3になるとか、小さくはなります。
―――御社のFC加盟店、777店へのリフォーム導入も計画していましたが、同じようにリフォームコーナーを設けるのですか。
10坪ぐらいの店が多いので、売り場は、難しいですね。ただ、2店舗はキッチン、バスをワンセットずつ入れています。FC店への商品販売で40億円ほどの売り上げをみています。

本社 * 大阪府大阪市 / 設立 * 2002年3月29日 / 資本金 * 119億4000万円
連結売上高 * 7666億9900万円

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