オレンジホームワークス 中山雅明 社長
中古マンションを仕入れて、リフォームした後に販売する「買い取り再販」ビジネス。この事業に興味はあるが、どうすればうまくいくのか不安に思う経営者も多いだろう。今回は、年間50戸の中古再生マンションを販売するオレンジホームワークス(東京都江東区)の中山雅明社長に、買い取り再販事業のビジネスモデルを聞いた。
再販事業で11億円
―― 再販物件の累計販売戸数はどれくらいですか。
10年前に事業を始めて、これまで400戸を販売してきました。ここ最近は年間50戸くらいです。1戸2000万円ほどの価格なので、年間約11億円を売り上げています。
―― もともとリフォーム会社として設立されました。
普通のリフォーム事業もやっています。こちらは年間3億円の売上高なので再販とあわせると年商は14億円です。
―― 再販事業のターゲットは誰ですか。
年収でいえば300万~600万円。20代半ばから30代です。ワンルーム物件に関しては3割くらいが中国の方で、投資用物件として購入されています。
―― どのような物件を仕入れるのでしょうか。
東京都江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区などの城東地域にある中古マンションです。築年数は25~30年が中心です。
―― どんな再生をしていますか。
配管から設備、内装、床・建具など一新します。自社施工で、平均コストは300万円くらいだと思います。
粗利益率は8~10%
―― どれくらいの利益になるのでしょうか。
1戸あたりの粗利益率は8~10%。利益額で言えば1戸あたり150万~200万円くらいになります。年間で言えば1億円くらいですね。この事業は現在3人でやっています。利益が大きいところがメリットですが、売れ行きに波があるのがデメリットです。
―― 景気や不動産市場に左右されるということですか。
そうです。例えば全体の不動産価格が下がり始めると売れにくくなり、当然利益が減っていきます。一般リフォームは粗利益が25%ほどで、1件あたりの利益額は再販に比べたら小さいのですが、波が少ない。市場も確実に大きくなっていますしね。こちらは10人でやっています。
――中古マンションの仕入れはどのようにしていますか。
100店舗くらいの不動産会社から物件を紹介してもらい、1日3~4件見学します。月間では100件くらい。いくらくらいでリフォームして、どれくらいの価格で販売するかを想定して、条件にあったもの4~5件に入札します。当然ですが、他の会社の入札価格が高くて買えないこともあります。ただ、リフォームが自社施工なので、その分のコストを抑えられるため他社より高く入札できます。
1物件3回の見学会
―― 再生した後の販売も仲介会社経由ですか。
まずは物件情報をいただいた方に販売を任せるようにしています。期間でいえば3~4カ月間です。その後はオープンにして10社くらいに情報を出して行きます。
―― 再生した後にリフォームのモデルルームとして使うようですね。
ほぼ全てのマンションで現場見学会を開催するため、すぐには売却しません。これは物件の販促という意味だけでなく、自宅のリフォームを考えている人たちにPRするためです。1物件3回くらい見学会を開催して、リフォーム営業の場として活用します。集客対象は、再生したマンションと近隣マンション。3回イベントをやると、同じマンションに住む方の3割くらいは来てもらえます。
―― 実際に効果はあるんですか。
全面改装を体験できるので、400万~500万円のリフォームにつながっています。月間2件ペースで大規模な改修があります。
大きい損失額
―― 再販ビジネスの難易度についてどう考えますか。
難しいと思います。不動産は情報商売なので、良い情報をいかに手に入れるかなんです。そのための人脈作りも必要です。それに、情報をもらったとしても、最終的に自分自身で買っていいのかどうかを判断できないと。あまり弱気だと買えませんし、やめるきっかけになってしまう。
―― リフォーム業との大きな違いは。
損害を出すときの額が違う。3.11の後の3カ月間、1つも売れないことがありました。2000万円の利益を出すつもりが、2000万円の損失を出しました。リフォーム業の4カ月分の利益がいっぺんに吹き飛んでしまいました。
――今後の方針は。
今期の再販事業は60~70件くらいのペースできています。リフォーム拠点も今年3月に2店舗目を出しましたので、再販事業とあわせて伸ばしていきたい。

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1655号(2025/07/07発行)17面
- 1653号(2025/06/16発行)12面
- 1651号(2025/06/02発行)12面
- 1649号(2025/05/19発行)7面
- 1647号(2025/05/05発行)15面