山商リフォームサービス 山﨑晶弘 社長
売り上げの8割が、インターネットを経由したリフォーム依頼―――。山商リフォームサービス(東京都足立区)は従来型のチラシ営業から、ウェブマーケティングに切り替えたことで売り上げを伸ばしてきた。前期の売上高は31億円。2015年8月期決算では前年比17%増の36億円を計画している。山﨑晶弘社長は「2020年にはネットをどう使ったかで勝ち負けが決まる」と話す。

「中古注文住宅」というブランドで、中古住宅も注文住宅のように自由にリフォームできるという価値を伝える。
30代後半が主な顧客
――山商リフォームサービスの強みはウェブによる集客です。匿名で多数の業者に一括見積もりが依頼できるサイト、「ホームプロ」経由が最も多いようですね。
ホームプロ経由のリフォーム依頼には、1日約40件対応しています。月間1200人の新しいお客さんとメールのやり取りをしていることになりますね。その他のウェブサービスを組み合わせると、ネット経由で月間1500件ほど相談があります。
――実際にどれだけ成約に至っているのですか。
問い合わせのうち具体的な見積もりになるのは1~2割程度です。見積もり依頼を頂いた方の4、5割くらいが成約になります。
――ネットでリフォームの問い合わせをする人はどんなニーズを持っている方なのでしょうか。
層で言うと30代後半の住宅一次取得者が一番多いです。そして中古住宅を購入した人がほとんど。だから私たちは「中古注文住宅」という言葉の商標をとってブランドにしています。住宅タイプは6割がマンションで残りが戸建て。
昔は物件を買う不動産屋が紹介してくれた会社でリフォームしていたと思うのですが、今のお客さんは頼まない。やはり、自分でネットで調べて、一番気に入ったところに決めたい。だから中古住宅を買った方からネットを経由して依頼が来るんです。2020年にはネットをどう使かったかによって、勝ち負けが決まる。これを極めていきたい。
カギは「イメージの足し算」
――中古住宅の改修となると、どれくらいの予算でしょうか。
ネット経由の平均単価は280万~290万円です。5、6年前は100万円でしたから3倍くらいになりましたね。やはりチラシからネットの媒体に切り替えたことが大きい。今後はネットだけでリフォームの契約を行う「リフォームダイレクト」というサービスもやりたい。
――しかし、ネットは他社と比較しやすいので、そう簡単に受注できないのでは。
ポイントは2つなんです。1つは、相手の話をよく聞くこと。そしてもう1つは、プロとしての知識と知恵を提供すること。例えば、中古住宅を買ってリフォームしたいという依頼が来たら、「現場を見てみなくてはわかりません」とか「だいたい800万円くらいです」とか、そういうやり取りは良くない。例えば、お客様に3つプランを作って提案する、金額もそれぞれ具体的にかかる費用をお出しする。こういうことが大切で す。
――競合には大手企業も多いですよね。最終的にどうして選ばれると思いますか。
これは良いイメージを足し算していくことが重要なんです。例えば、最初の電話の出方が良かった、返信のメールが一番早かった、来てくれた営業マンのマナーが良かった、提出したプレゼンテーション資料が他社よりも厚かった、有名な雑誌の裏表紙に広告が載っている、大手のショールームの近くに看板があった、などといった良いイメージを積み上げていくこと。これが大事。
人材教育「カレッジ」開始
――今課題だと考えていることはありますか。
人材です。まず、人材の質を高めていかないと次のステージにいけない。私どもがやっているのは物売りではありませんので。そのために3月から「カレッジ」という全社員が受ける教育プログラムを始めます。全部で17講座。マナー、パソコン操作といった基本的なものから、リフォーム市場概要などについての講義もあります。
――中古住宅の伸びが、業績に影響してきそうですね。この市場をどう見ますか。
今の人は「リセールバリュー」を考えて家を買う。つまり、売るときにいくらくらいになるかということ。そう考えると中古に目がいきます。 中古住宅の流通数は倍にはならないがそれでも伸びていき、欧米のように中古を買ってリフォームが当たり前の時代になると思います。

昭和52年、花屋として設立。昭和58年にリフォーム事業開始。チラシやイベントで集客を図っていたが、5年前にネットにシフト。業績が拡大し現在12拠点、社員数113人。

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