大和ハウスリフォーム 杉浦純一社長
2018年度、サロンを20店に
大和ハウスリフォーム(東京都江東区)が2年後の売り上げ1000億円に向け事業強化を進めている。中心となる新築OB顧客向けのアプローチに加え、新規客向け窓口となる「リフォームサロン」の開設やグループのホームセンターとの連携を推進。また、インスペクションにポイントを置き、診断からの提案を進める同社の杉浦純一社長に今後の戦略を聞いた。

2月にオープンしたリフォームサロン
前期売り上げは753億円
――前期は消費増税の影響で各社苦戦を強いられていましたが、売り上げ状況はいかがでしたか。
前期は753億円です。発表していた売り上げ計画は750億円ですからクリアしましたが、受注が落ち込み、社内の設定である800億円には届きませんでした。
――つまり、売り上げの中心となるOB顧客の受注が厳しかったのだと思いますが、前々期8対2だったOBと新規客の割合に変動はありますか。
少し新規の割合が増えまして25%ほどです。
――今後の施策としては、2013年11月に発表された中期経営計画の中で築20年以上の新築OB客とのリレーション強化を掲げられていました。具体的にはどんな施策を展開するのですか。
結局、今20年を経過しているような方は点検、診断といったリレーションが十分ではなかった人です。昔はダイワハウスも他のハウスメーカーも取り組んでいませんでした。2年や10年で点検が終わっていたので、その方々と接点が非常に薄かったのです。そこで接点を復活させる意味で、もう一度建物の状況を私どもが引き継ぎ、適切なアドバイスをしようとしている状況です。
――顧客訪問をするわけですか。
今、新築契約される方に実施する定期点検は築40年ぐらいまで継続し、望めば50年ぐらいまで行う。古いお客様にもそれを浸透させようというのが私の考えです。
―― やはり2000年の品確法が契機になったと思いますが、新築のお客さんに対する点検頻度は決まっていますか。
1カ月、半年、1年、2年、5年、10年訪問、その後は5年ごとです。これはほとんどのハウスメーカーも一緒です。
――ちなみに、提案対象の新築ストック数は発表によると現在約40万戸。そのうち築20年以上が41.8%ということですが、総販売戸数ではないですよね。
総販売数に対し、ご高齢でDMがいらないだとか滅失したもの、把握できなくなっているものなどを除いています。
――つまり、リレーションが可能な物件ということですね。2011年と比較すると約4万件増えています。どこまで接点を取れている状況でしょう。
築15年ぐらいまではできています。今新築のお客様に行っている10年点検は特殊な事情を除き、実施率が100%に近い。ところが15年になると8割か9割。20年は増えているもののまだ全然できていません。
見えない老朽化を発見
――特に築年数が経過した住宅は、御社がコンセプトに掲げているインスペクションの提案が生きてくると思われます。
私はリフォームを取ることも重要ですが、その前にインスペクションを重視すべきという考えです。だから、築年数の古いお客様ほどインスペクションが必要。キッチンの交換や床の張り替えの際でも提案している状況です。
――なぜそうした発想に至ったのでしょうか。
本体のダイワハウスと大和ハウスリフォーム、どんな関係が一番ベストかと考えた末の結論です。OBのお客様が会社のイメージを一番左右すると思っていますが、ダイワハウスは新築がメーンであり、建てた方へのフォローはアフターメンテナンスのCS部門です。ただ、CS部門では受け身的ですから、積極的な提案を行うためには私どもの部隊が入らなくてはいけない。そうした使命が私どもの事業にあると思い、インスペクション重視の理念を打ち出しました。
――御社の住宅は工業化されているため、耐震性や断熱性などの品質均一化がある程度できていると思います。それでも診断、点検は必要ですか。
お客様からすると生活の中で、困ったことなどが発生しない限りリフォームを行わないです。しかし、点検をしてみると目に見えない部分で老朽化が進んでいます。だからこちらからお勧めしないといけません。
―― 中古住宅仲介時のインスペクション義務化の議論などもありますので、今後追い風になり実施率は増加していくのではないですか。
私はインスペクションを浸透させていますが、徹底できていないところに問題点があると思っています。営業マンはどうしても仕事を取る方に走ってしまう。しかし、お客様のことを考えるとインスペクションを行った上で、リフォームをする概念が重要です。それがリスクヘッジにもつながります。
ホームセンターから新規獲得
――一方で、売り上げ拡大には新規客も今後増やしていく必要があると思います。新規客獲得の一番の方策は何になりますか。
グループのロイヤルホームセンター経由が新規客としては一番多いです。
――ロイヤルホームセンターの各店舗内に24カ所設けているブースからの受注獲得ですね。
ロイヤルホームセンターの潜在顧客に対し、いかにリフォームをやっていることを浸透させるかです。その試みができている店舗はたくさん来客がありますし、できていないところは来ません。ロイヤルホームセンター自身が行っていたリフォームのカウンターよりも今の方が大型改修の依頼者がきています。
――今までのロイヤルホームセンターの人員では大型対応は難しかったということですか。
それもありますし、お客様がロイヤルホームセンターに大型工事を頼むという意識がないですよ。イメージがわきません。家電量販店さんが行うリフォームと同じく物販の域を脱してないところがあると思います。弊社もトイレの便座交換、給湯器交換など物販の案件はホームセンターさんに対応してもらい、提案が膨らみ大型化する際は私どもで行います。
――対応スタッフ数は50人ぐらいでしょうか。
そのくらいいますね。どちらかというと女性をメーンに行っていますが、生産性はまだ上がっていません。あと集客数が上がらないので、価格勝負にならないようにしながら、その辺に力をいれていきます。
――ホームセンターからの売り上げは全体の5%ほどでしょうか。
そのくらいですね。
――あと新規向けの窓口としては2月にオープンしたリフォームサロンがあります。現在、神奈川と千葉と兵庫に1店舗ずつ展開していますが、反応はいかがでしょう。
兵庫の川西は4600世帯の団地で来店客が常時ありますから、浸透すると結果が上がってくると思います。
――どのくらいの店舗規模なのですか。
横浜の港南台はかなり広く約200平米あります。川西は普通の2階建ての家の規模が大きいくらいですね。
―― 今後の計画としては、このサロンを2018年度に20店舗とし、60億円を目指す考えですよね。
そうです。あと3年後を目指していきます。
――OB客とのリレーション強化と同じく中期経営計画に掲載していましたグループの仲介会社、日本住宅流通との連携状況はいかがでしょう。確か年間2300から2500件の仲介取引を手掛けられていたと思います。
これからです。不動産を買った方への提案、あるいは弊社が買い取るイメージです。インスペクションの義務化などがでてくると連携が強化されると思います。
――最後に1000億円に向けた方針について伺いたいのですが、達成するための1番の課題はなんでしょうか。
もう少しOB客の需要を回復させないといけません。伸びがイマイチ。そのためのリレーションを取るためには、やはり点検、診断が一番重要ですね。

所在地 * 東京都江東区 / 創業 * 2003年(2013年4月に社名変更) / 支店数7ヶ所、営業拠点88ヶ所
人員数 * 2000人(パートを含む、営業約1000人、技術約540人) / 各営業所の営業人員 * 3人~5人
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