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「100年マンションを目指す」建て替え...

「100年マンションを目指す」 建て替えではなく改修で

マンション計画修繕施工協会
坂倉徹 社長
1177号 (2015/07/21発行) 7面
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マンション計画修繕施工協会 坂倉徹社長

マンション計画修繕施工協会 坂倉徹社長

建て替えではなく改修で建物を維持

 マンションの大規模修繕工事に取り組む全国の事業者が集まり、2008年に設立されたマンション計画修繕施工協会(略称MKS、東京都港区)。昨年には国土交通省が開始したリフォーム事業者団体登録制度に第1号で登録され、現在146社の会員を抱える。坂倉徹会長に市場状況、団体の活動内容を聞いた。

7年前から活動

――設立は今から7年前と聞きました。会の歴史は割と新しいですね。

 首都圏で15、16社の任意の勉強会的なものがあったのですが、全国団体はありませんでした。やはり全国組織が必要との認識で同業者約200社に呼びかけてできたのが当協会です。スタート時は144か145社でした。

――会員の方は元請けをしている企業ですか。

 会員が行う仕事のうち元請け割合は50%です。

――となると半分は下請けなのですか。

 全体でいうとマンション大規模修繕は、ゼネコンさんが3割、マンションの管理会社さんが3割、うちの会員が3割ほどの割合です。要はゼネコンさんも管理会社さんの工事も私どもが一次下請けで入っているので元請け率が半分になっています。

――築30年を超えたマンションが150万戸を超え、市場ニーズの高まりを感じます。

 私の会社がこの種の仕事を始めたのは、比較的早く1978年でした。その建物は千葉の稲毛団地、神奈川の830所帯ぐらいの左近山団地、61年頃に分譲した住宅公団の分譲団地の大規模改修工事でした。

 その頃の分譲は非常に安普請でリシンの吹き付けのような外装の仕様だったのですね。15年ほど経過し、非常にみすぼらしいということから、塗料メーカーと相談しながら膜厚2、3ミリの厚付けの塗料で仕上げたのです。それまでの建物のイメージが払拭され、高級感が出るということで、採用したい、やりたいと広がっていきました。

――塗装以外のニーズも出てきますよね。

 防水工事がついたり、下地に入った亀裂やモルタルの剥離を補修したり、塗装以外に仕事もかなりありました。1つずつ勉強しながらやり始め、仕事の種類が固まってきたのです。

――出身業種として多いのは塗装ですか。

 塗装が146社の会員のうち80社ほど、次が防水で30~40社。あとは給排水などです。

――今、マンションストックの戸数が600万戸となりました。住宅リフォーム市場は空き家も含め約6000万戸で7兆円弱とみていますが、大規模修繕のマーケット規模としてはどのくらいと見ていますか。

 矢野経済研究所さんが出しているデータで言いますと、約6000億円です。

――平均的な受注金額はどのくらいですか。

 戸あたり100万円程度。分譲マンションの1棟当たりの平均戸数は60所帯ほどなので、平均受注金額は5000万~6000万円ほどです。

建て替えは10分の1以下

――今後改修のマーケットは伸びるのでしょうか。

 建て替えるか改修するかの問題があるので難しいですが、国は建て替えを相当見込んでいたようです。40、50年で建て替えるだろうと見ていました。しかし、住んでいる人が高齢化し、その必要がなくなってきた。

 子供も独立すると、狭いと言っていたのが適当な広さになり、あまり手をかけたくない、新たに借金をしたくないとなる。10棟建て替え対象の物件があったとしても、実際建て替えるのは1棟もいかないですよ。

――法改正でも難しいでしょうか。

 容積率が150%になったとしても厳しい。民間のマンションだと容積率、建ぺい率がぎりぎりなので、2倍にはならない。やはり100年マンションを目指すということだと思います。

――建て替えをせず、長期で持たせるという構想ですね。

 私どももつい先日海外へ100年マンションの視察に行ったのですが、比較的地震の少ないアメリカの東海岸やニューヨークでは100年以上のマンションがかなりあるんですよ。中は時代に合わせて作り変え、外はほとんどいじりません。

――外は修繕もしないのですか。

 外壁が石だったりするのです。日本だと地震がありますから、レンガやタイルでも敬遠される。だから米国のようにはなりにくいですが、考え方としては、古いものを使うということですね。

 建物がだめになる要因は全部メンテナンスで排除していけます。直下型の地震が起きたりしなければ、100年持たすことが可能です。

完成保証を提供

――協会の主な活動内容は。

 保証事業が1つです。専門工事会社の集まりですので、あまり社名を知られていません。そうすると管理組合の合意形成を取る際に本当にこの会社で大丈夫なのか、となりかねませんので、会として完成保証と工事後の国土交通大臣認可の大規模修繕かし保険を連携して作り上げました。

 それと改修工事業を建設業法の業種区分の1つに認めてもらう活動もしています。改修工事業ができた際には資格者が必要ですから、マンション改修工事施工管理技術者の試験も行い、資格者は今1300人います。加えて先ほどの100年マンションのプロジェクトと、教育制度ですね。

――かし保険を使う工事はどのくらいでしょう。

 当協会会員の総工事高が約2400億円。元請けが約1 1 0 0 億円です。保証の掛け率を総工事高から換算すると約5%。昨年9月に住宅リフォーム事業者団体登録を受けましたので、そこから会として一定金額以上を義務化しました。

 場合によっては100%に近づけていいと思っていますが、居住者が負担する部分がありますので、大きめの仕事から義務化を行っています。


【団体概要】
 本部 * 東京都港区 / 会員数 * 146社 / 設立 * 2008年12月16日
事業内容 * 「大規模修繕工事のかし保険」「MKS計画修繕保証制度」の提供、MKS団体保険の提供、マンション改修施工管理技術者試験の実施、書籍出版など
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