世界に1つだけの浴室づくりで活躍している人物がいる。 オーダーメードの浴室リフォームを手掛けるフリーバス企画の服部梨枝子専務取締役だ。 これまでに手掛けた浴室は300件以上。 顧客満足度の高い浴室作りのポイントを聞いた。
フリーバス企画(神奈川県川崎市)
服部梨枝子 専務取締役
ユニットバスメーカーに勤務後、15年前よりオーダーメードの浴室を
手掛けるフリーバス企画でデザイン性の高いオーダーメードの
浴室リフォームを手掛ける。これまでの実績は300室以上に上る。
お風呂はパワーをチャージする場所
「お風呂は、家の中でひとりになれる大切な空間です。どこか1つだけでも、そのお施主様だけのオリジナル要素を取り入れると満足度がアップします。そして、浴室が1日の疲れをとり、パワーをチャージできる癒しの空間になります」
服部さんが手掛ける浴室リフォームは、浴槽や内装材に木や石など天然素材を活用したり、リビングの真ん中にバスタブを設置したりと、施主のこだわり感が満載のオーダーメード品が中心だ。平均単価は約200~300万円と高額になる。なんと、1000万円を超えるような高級バスを設計することも多い。
ただ施主のワガママを実現するだけではない。豊富な知識と経験を駆使し、風呂の設計に必要不可欠な、清掃性や安全性を備えた、毎日の入浴が楽しみになるオンリーワンの浴室を提供している。
服部さんは、浴室をプランニングする際、施主の要望は何か?どこにこだわりを持っているか?に注意してヒアリングしているという。
「共通して聞かれるのは、やはり浴室を広くして足を伸ばせるようにしたい、掃除をしやすくしたい、寒いお風呂を温かくしたいなどのお悩みですね。お洒落で格好いい、デザイン性に優れるだけの浴室を提案するのではなく、これらの悩みをカバーできるような浴室づくりを心掛けています」
服部さんが設計した浴室の作品事例を参考にしながら、顧客から喜ばれる浴室リフォームのポイントを探っていこう。
綺麗に保てるか?を前提に浴室提案
自由度の高い在来工法の浴室だが、手入れのしやすさには重々配慮したい。例えば浴室に広がる香りや、優しい感触で憧れる人も多い木の浴槽。長く綺麗な状態を保つには、毎日のまめな手入れが必要になる。
「木の浴槽は、排水口に水が流れるようにするため勾配を付けるのですが、そのため中に水が溜まり、黒ずみになりやすい。普段のお手入れを面倒臭いと感じる方には、メンテナンス性の高い浴槽を提案するようにしています」
当たり前のように取り付けがちな、鏡も要注意だ。
「掃除が苦手な方には、極力鏡を取り付けないことを提案するか、もしくは小さなタイプをお薦めしています。コーティングされているタイプもありますが、長くは持たないため、塗り直しが必要なことをお伝えしています」
POINT(1) 施主の掃除に対するスタンスを見極める
在来工法の浴室は、材質や、色などを自由に選べる点が魅力だ。ところが施主の希望のまま素材を選んでしまうと、後々に手入れの面で苦労させてしまう。 浴槽を選択する際は、素材の特性や、メンテナンスの必要度合いを事前に説明することが大切だ。施主は掃除が苦にならないのか、苦手なのかを見極めて提案し、本人の納得の上で決定しよう。
POINT(2) お手入れ方法をアドバイス
リフォーム後も綺麗なバス空間を長く保てるよう、手入れの方法をアドバイスしている。 「浴槽に水を溜めたままだと、石けんカスや水アカが付いて、白っぽくなったり、劣化が早くなったりしてしまいます。最後に入浴した方がシャワーをかけ、換気するだけで、持ちが全く違いますよとお話しています。鏡や水栓は、乾いたタオルで磨くとピカピカになって気持ちいいですよ、とお伝えすることもあります」
POINT(3) タイル目地は防カビタイプを標準支給
職人に支給する目地やコーキング材は、防カビ・防汚性の高いタイプを標準仕様にしている。 「タイルの掃除が大変と感じている方が多いため、目地部分は汚れにくいタイプを採用しています。費用にすると1~2万円のプラスになりますが、"スポンジでざっと汚れを落とせるようになりますよ"と説明すると喜んでいただけます」
POINT(4) 天然素材を採用する際の注意点とは?
木や石など、天然素材を使った意匠性の高い浴室を作る際は、漏水など防水処理に注意を払う必要がある。十和田石と天然木をミックスさせた、別荘の浴室リフォームだ。浴槽は、FRPの浴槽を形成しその上に十和田石を貼り漏水を防いでいる。浴室と洗面所を一体感のあるデザインにするため、洗面所は石貼りにしている。足が冷えないよう、洗面台前のスペースは温もりのある木を貼る心使いも。
POINT(5) 浴室を大海原に見立てたオリジナルバスルーム
白い浴槽を海に浮かんだ小船に見立て、プランニングした事例。また、赤色のタイルを太陽に、黄色のタイルを月に、青色のグラデーションで波を表現している。「お施主様はボートに乗られる方で、まるでボートで海の上にいるかのように、お風呂でくつろぎたいと仰っていました」このように服部さんは、1日の疲れを癒せるような、こだわりのバスルームを提案している。
POINT(6) 足を伸ばして入浴したい!願いに応えたリフォーム術
幅1200㎜の浴槽が入っていたマンションの小さな浴室を、「どうしても足を伸ばして入浴したい」という施主の願いに応えるため、1400㎜の浴槽を入れたリフォーム事例だ。「現場調査をしたところ、どうにか1400㎜の浴槽を入れられそうでしたが、不安がありました。安全パイで1300㎜をオススメしましたが、どうしても1400㎜にしたいということでした。そこで浴室と洗面室の壁を約半分の厚みにいじめ、余裕を持って大きいサイズを入れられるようにしました」
POINT(7) 開放感のある窓とブラインドはセットで提案
開放感のある大きな窓を浴室に設ける際は、後からでも目隠し用のブラインドを取り付けられるよう補強を行っておく。「お施主様の中には、ブラインドをつけなくても構わないという方もいらっしゃいますが、本人がそう仰っている場合でも必ずオススメするようにしています」
POINT(8) 家の雰囲気に合わせて目地の色を選ぶ
蔵を所有している施主の浴室をリフォームした時のもの。蔵のイメージに合わせて、目地を濃い色味にしている。「目地の色味で浴室内の雰囲気が全く異なるので、家の雰囲気に合わせて吟味しています」
この記事はリフォーム営業マンを応援するビジネス誌
『Reform Sales Magazine リフォームセールスマガジン』 から抜粋しました。
(毎月15日発行/A4サイズ/28ページ/オールカラー)
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